【大紀元5月7日】アジアタイムズの報道によると、中国国家審計署長官・李金華は先日、中央の監査部門が地方の監査部門を直接管轄することを見送る方針を発表した。中国の地方監査部門が長い間、地方政府の管轄下に置かれ、独立に監査機能を発揮できなかった。この局面を打開するため、学識者は中央監査部門の直接管轄を求めてきたが、実現化への道のりはまだ険しいようだ。
国家審計署長官は「現在の監査体制が憲法によって定められているため、憲法改正をしなければ、監査体制の変更は不可能」と述べ、「現行の監査体制は地方政府の支持を得ており、監査業務の円滑化に有利である」と現行体制を擁護する意向を示した。
これまで、各地の監査担当はそれぞれの党委員会の書記の指揮下にある。換言すれば、監査対象は即ち直属の上司である。監査担当は圧力をかけられており、幹部の汚職問題を糾弾することができない。これは現在の中国で汚職が横行していることの原因にもなっている。さらに、監査が地方政府から独立していないため、中央から災害救援金が幾度となく流用されてしまった。その典型例として、雲南省大姚震災のときに中央政府からの4000万元の救援金が流用された事件があった。この事件がマスコミによって報道されてから、国家審計署の介入でやっと解決された。しかし、主要幹部は処罰されなかった。クリーン政治を実現するために、学識者から中央監査部門が直接地方の監査を管轄するという「垂直管轄」の実現を求める声は高かった。
一部有識者の分析によると、中国中央政府は現在、不動産のバブル問題、金融問題で手一杯なので、これ以上戦線を広げることができないと見ている。中央政府は地方政府との良好関係を保つためにも、現状維持しなければならないようだ。これは中国官界の現状の反映であるかもしれない。
(アジア時報)