中共の論調が急変、「反日デモは陰謀」

2005/04/29
更新: 2005/04/29

【大紀元4月28日】(大紀元総合報道)中国共産党はこのほど、連日の反日デモに対して、今までの支持から抑圧、ひいては参加者の逮捕に方向転換した。上海解放日報は4月25日付社説で、反日デモには「明かしてはいけない目的」があると批判した。中共のこの矛盾している態度は海外のマスコミを混乱にさせている。

中共に煽動された大規模な反日デモ

四月に中国の各地で相次いで発生した反日デモは、「中国政府が民衆の愛国心を煽ったものである」という憶測は徐々に確実なものとなった。

VOAの記者ハットンは4月9日北京から次のように報道した。「政治デモは中国で非常に希なことである。しかし、警察は武装もせずに、そばでデモを静かに見守っているだけだった。更に、一部の学生は大学と学校からデモの参加を薦められたと言っている」。

また、インターネットの情報によると、「深センの反日デモの参加者の多くは私服警察である」という。日本の産経新聞は「一般労働のデモを報道しない新華社通信が今回の反日デモを報道したことは、中国政府と共産党がデモとその報道を許可したことを物語った」と指摘した。

「反日デモは陰謀」と中共の論調が急変

中国で影響力ある上海解放日報は4月25日に社説を発表し、最近起きた反日デモは「明かしてはいけない目的を持つ」陰謀だと批判した。

この社説には「数多くの事実から、最近の不法デモは愛国のためのデモではなく、違法行為である。民衆の自発的なデモではなく、背後に黒幕が存在しているのが判明した。一部の地区で行われた不法デモは企みをもつ陰謀であり、背後に明かしてはいけない目的がある」と述べられている。
現在、中国政府はこれ以上の反日デモを容認しないと明言し、既にデモ中に器物を破壊したデモ参加者を42人も逮捕した。

同社説は「中国共産党党員は今回の闘争の本質と重大さを明確に認識し、自ら違法行為と一線を画し、不法行為と戦っていく自覚を持たなければならない」と主張している。さらに、全ての党員と民衆に対して「党及び政府との一致を保ち、違法分子と犯罪分子を糾弾し、社会を安定させ、国益を守るよう」と呼びかけた。

中共内部で対日政策において不協和音

中共政府の矛盾を露呈したこの社説について、ニューヨーク・タイムズ紙は28日、「少なくとも一部の中国政府指導者は、今回の反日デモを中共の指導を破壊するための陰謀と決め付けたがっている」と指摘した。北京の有識者は、この社説の発表が中共内部で対日政策において不協和音が生じたと分析している。

解放日報のこの激しい論調の社説が発表されるまで、中国政府は民衆の日本の侵略暴挙に対する憤りを多くの紙面を割いて詳しく取りあげた。更に、中国外務省のスポークスマン・秦剛は定例記者会見で、「今回のデモ活動は北京市の一部の民衆が、日本側が最近歴史問題に対して示した誤った態度と行動に不満を感じ、自発的に組織したものだ」と述べた。

北京のある政府寄りのメディアの編集者は、解放日報の社説は民衆を脅かすためのものだとしているが、北京のある政治評論家は違う見解を持っている。つまり、政府内ではデモに対してずっと対立しており、対日政策は既に内部闘争の火種になっていると言う。

北京当局はまず反日デモを奨励し、すぐ抑圧した。これは民衆の愛国心を利用して危機から逃れたいのだが、民衆がデモの中で他の訴求を言い出し、反政府活動に変容するのを恐れている。今、中共内部では汚職が横行し、貧富の格差が拡大する一方で、各種の信仰団体を弾圧したため、社会の道徳が崩壊の危機に晒されている。多くの社会問題を抱えている中、中共はこれ以上のデモをコントロールすることができず、反日デモは政府に対する不満を晴らすはけ口になりかねないと判断したのである。