ドナルド・トランプ米大統領とベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相は9月29日、米国が先週提示したガザ和平案で合意に達した。これはトランプ氏による中東和平推進における大きな前進となった。
両首脳はホワイトハウスでの共同記者会見で20項目からなる計画を強調したが、テロ組織ハマスの同意がなければ前進できないことが明らかになった。ハマスが提案を拒否すれば「イスラエルが自らの手でガザで任務を完遂する」とネタニヤフ氏は強調し、その際には米国は全面的に支援するとトランプ氏は約束した。
イスラエルが合意を正式に受け入れたことを受け、トランプ氏はハマスに対し、2023年10月7日のイスラエル攻撃で拿捕した人質を、生死を問わず72時間以内に解放するよう要求した。焦点はハマスがこれに応じるかどうか、さらにアラブ諸国が同組織に圧力をかけ交渉の席に着かせるかどうかに移っている。
イスラエルによる承認
先週、トランプ政権はニューヨークでの国連総会の傍らでガザ和平案を発表し、アラブ諸国の指導者らに提示した。
会談前、ネタニヤフ首相はイスラエルが計画をまだ正式に受け入れていないが、米国側と緊密に調整していると述べ、特にパレスチナ自治政府のガザ統治関与の可能性を「越えてはならない一線」と表現した。恩赦の問題については「ガザを離れることに同意する場合のみ対象とする」とし、合意は依然遠いと見られた。
しかし、9月29日に約3時間に及ぶ協議を終えた後、最終案を受け入れた。この合意には、イスラエル軍の指定線までの撤退、軍事作戦の全面停止、無期懲役囚250人の釈放、さらに2023年10月7日以降に拘束された1,700人のガザ住民の釈放が盛り込まれた。
「イスラエルはガザを占領も併合もしない」と合意には明記されている。また、パレスチナ自治政府が改革プログラムを完了すれば「パレスチナ人の自決と国家建設に向けた現実的な道筋」の条件を整えるとされた。
記者会見でトランプ氏は「これは文明史上最大の一日となるかもしれない」と述べ、アラブ、イスラム、欧州の指導者、そして合意を支持したネタニヤフ首相に謝意を表した。
同日ネタニヤフ首相はカタールのモハメド首相に電話をかけ、ドーハでのハマス指導者攻撃によるカタール主権の侵害を謝罪した。
「平和理事会」の設立
ホワイトハウスの和平案によれば、トランプ氏は「平和理事会」と呼ばれる新国際機関の議長となり、ガザ復興を監督する。同理事会は技術官僚的で政治性を持たないパレスチナ委員会を管理し、公共サービスや行政を運営する責務を担う。
理事会にはトニー・ブレア元英首相ら著名人が参加し、パレスチナ自治政府が改革を完了してガザを統治可能となるまで再建資金を管理する。「国際最高水準の統治を導入し、効率的で投資を呼び込む行政を構築する」とされた。
ガザの非武装化
和平案はガザの過激思想を排除し、今後脅威とならないよう完全にテロのない地帯とすることを目指している。敵対行為終結後、全面的支援が提供される。
トランプ氏とネタニヤフ氏はハマスがガザ統治に関与することはないと改めて強調した。
「トンネルや武器製造施設を含む軍事・テロ・攻撃インフラは全て破壊され、再建されない」と計画に記されている。また、「誰も強制的に追放されることはなく、希望する者は自由に出入りできる」とされた。
米国とアラブ諸国、他の国際パートナーは暫定的「国際安定化部隊」を設立し、ガザに即座に派遣する。これは「長期的な内部治安の解決策」であり、パレスチナ警察の訓練・支援を行う。イスラエル軍は段階的に撤退することを新暫定当局と調整し、合意されたスケジュールに従って実施する。
さらにトランプ氏は、カタール、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタン、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の指導者全員が支持を表明したと述べた。これら諸国の外相は共同声明で「ドナルド・J・トランプ大統領の指導力と真摯な努力を歓迎し、和平実現への能力を信頼する」と表明した。声明は、戦争終結、ガザ再建、パレスチナ人の追放阻止、西岸併合を認めない姿勢を「包括的和平」の核心要素とした。
今後の展望
現在ボールはハマス側にある。計画を受け入れるかどうかは依然不透明である。
ネタニヤフ首相は「ハマスが計画を拒否、または妨害すればイスラエルは軍事行動を継続する」と警告した。「容易な道か困難な道かは別として、必ず実行される」と述べた。
トランプ氏も同調し、ハマスが和平合意を拒否すれば「イスラエルがハマス壊滅を完遂することに全面的に支持する」と強調した。
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