合成麻薬フェンタニルの不正輸出に関し、中国の犯罪組織が日本国内に拠点を設けていた疑いが報じられたことを受け、岩屋毅外務大臣は27日、記者会見で「現段階で日米関係や日米協議に影響はない」との認識を示した。
日本経済新聞は26日、名古屋市に設立された法人が中国の化学品メーカーと連携し、フェンタニルの原料を管理し米国向けに不正輸出していた疑いがあると報じた。米国ではフェンタニルの過剰摂取による死者が年間数万人に上るなど、深刻な社会問題となっている。
岩屋外相は会見で「我が国はフェンタニルを含む薬物の管理を厳しく行っている。違法薬物の製造、販売、所持・使用、許可を得ない輸出入を絶対に許さないという観点で、これまでも適切に対応してきた」と強調した。その上で「フェンタニルの国際的な違法製造・流通ネットワークを断ち切り、さらなる被害を防ぐことが重要だ」と述べ、米国や国連薬物・犯罪事務所(UNODC)など国際機関と連携し、違法薬物の根絶に積極的に取り組む方針を示した。
また、日米間の関税協議など今後の外交交渉への影響については「現段階であるとは考えていない」と明言した。
米国側ではグラス駐日米大使がSNSで「中国共産党が関与するフェンタニルの密輸を日本経由で防ぐべきだ」と投稿したが、日本経由の具体的事実については不明とされている。
今回の報道を受け、日本国内の規制や監視体制の強化、国際協力のさらなる推進が求められている。現時点で日米協議に直接的な影響は生じていないが、今後も政府の対応が注目される。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。