【プレミアム報道】科学者らが気候変動データの重大な問題点を暴露

2024/03/21
更新: 2024/03/21

気候科学者や政府は、危険で人為的な地球温暖化の影響を予測する気候モデルを構築している。そのために使用する気温記録には深刻な問題があり、データに破損さえあると、この問題に関する研究を発表した複数の科学者がエポックタイムズに語った。

米国のバイデン政権は、地球温暖化の加速は人間活動が原因であるとし、最新の国家気候評価報告書を裏付けとしている。この報告書は、人間が排出する二酸化炭素などの「温室効果ガス」が地球を危険なほど温暖化していると述べている。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も同じ見解を示しており、その指導者たちは、これに基づき世界的な政策転換を推し進めている。

しかし、世界中のさまざまな分野における科学者や専門家が反発している。査読済みの研究によれば、使用された気温データにはさまざまな欠陥があり、そのため悲惨な結論を導いたのであり、国連などが提唱する気候ナラティブ全体を見直す時が来たとしている。

気温データには、地理や歴史を代表するデータの欠如、都市部の熱による記録の汚染、「均質化」というプロセスによって導入されたデータの破損などの欠陥があるというのである。

この欠陥は非常に重大であり、気温データやそれを利用する気候モデルが本質的に役立たないか、悪化すると、環境研究地球科学センター(CERES)の3人の独立した科学者が説明している。

3人の専門家は、「データの破損を考慮すれば、人間の活動によって引き起こされたとされる『気候危機』は消失する」と述べた。

それどころか、観測されている実測値を見れば、自然の気候変動の方がはるかに良い説明を提供する、と言う。

一部の専門家はエポックタイムズに対し、意図的な詐欺が働いているようだと語ったが、より潔白な説明を示唆する専門家もいた。

なぜ問題が存在するのかはともかく、この発見がもたらす意味合いは、いくら強調してもし過ぎることはない。

気候危機が起こらなければ、二酸化炭素(CO2)の排出を制限するために、何兆ドルもの政府支出をして、公共政策を変更する正当性は崩壊すると、科学者たちは一連のインタビューで説明した。

「過去35年間、IPCCの言葉は福音として受け止められてきた」と、天体物理学者でCERES創設者のウィリー・スーン氏は語る。同氏は最近まで、ハーバード大学とスミソニアン博物館の天体物理学センターで研究員を務めていた。

「実際、気候活動は21世紀の新しい宗教になった。異説を唱える者は歓迎されず、質問することも許されない」とスーン氏はエポックタイムズに語った。

2024年2月26日、英ロンドンにあるロイズ・オブ・ロンドンで気候変動に抗議するパフォーマンスを行う人々 (Carl Court/Getty Images)

「優れた科学は科学者に対して、IPCCの教義に疑問を呈することを求めている。現在、記録された地球気温の正当性がIPCCの最も神聖な教義の一つとなっている」

米国政府の最新の国家気候評価報告書には、「人間の活動が気候を変えている」と書かれている。

「多くの側面において、地球システムが温暖化している証拠には議論の余地がなく、大気中の温室効果ガスの増加が、観測された多くの傾向と変化を引き起こしている。それは科学的に明白だ」と。

報告書によれば、特にこれは輸送・エネルギー・農業のために化石燃料を燃やしている人間活動によるものだ。

しかし「時系列でみていくと、このナラティブには大きな問題が浮き彫りになる」とスーン氏は語る。

「地球温暖化や気候変動について聞かれたら、『いつから?』と問わなければならない。データによれば、1970年代から温暖化は進んでいるが、これは1940年代からの寒冷化に続いて起きていることを示している」

現在、19世紀よりも「間違いなく暖かくなっている」が、気温の代理データは、19世紀が「例外的に寒かった」ことを示しているとスーン氏は述べた。

「小氷河期として知られる時代の終わりだった」と。

地方の気温観測所、海洋測定、気象観測気球、衛星測定、年輪、氷河、湖沼堆積物などの代理データによれば、「気候は常に変化してきたことを示している」とスーン氏は述べた。

「都市部以外の気候には異常がないことを示している。都市部からの熱が気温データに不適切な影響を与えている」とスーン氏は付け加えた。

「地球のわずか3%に過ぎない都市の気温データを除外すると、気候の全体像はまったく異なる」

2023年9月7日、スイス・パイエルヌで気象観測気球を打ち上げる気象学者 (Fabrice Coffrini/AFP via Getty Images)

均質化

科学者が言うところのデータの破損は、「均質化」と呼ばれる曖昧なプロセスに起因している。

各国政府や国連と協力関係にある気候科学者によると、均質化に使用されるアルゴリズムは、実測した気温データに存在すると考えられるさまざまなバイアスを、可能な限り修正するように設計されている。

これらのバイアスには、気温監視ステーションの移転やデータ収集技術の変更、そして測定値に影響を与えかねない温度計の周辺環境の変化などが含まれている。

たとえば、何もない野原に気温監視ステーションが設置され、その後、その野原が舗装されて駐車場になった場合、本当の気温よりはるかに高温を示しているように見える。そのため、収集されたデータを修正しようとするのは理にかなっている。

温度データを汚染する可能性のあるさまざまな要因を制御するために、温度の均質化の必要性に対して異議を唱える人はほとんどいない。

しかし、現在実施されているプロセスを詳しく調べると、大きな懸念が明らかになると、CERESの独立系科学者であるローナン・コノリー氏は指摘した。

「科学界は、コンピュータプログラムを盲目的に使用しデータの偏りを修正することに夢中になっているが、最近まで、実際の温度データにプログラムを適用した場合、はたして正確に機能するかどうかをわざわざ調べて確認した人はいなかった」と、コノリー氏はエポックタイムズに語った。

2000年代初頭以降、地球気温の記録を作成しようとする政府や政府間組織は、データを自動的に調整するコンピュータプログラムに依存してきた。

スーン氏、コノリー氏、そして世界中の科学者チームは、何年もかけてプログラムがどのように機能し、信頼できるものなのかを調査した。

分析に関わった科学者の1人であるピーター・オニール氏は、2011年以降、米国海洋大気庁(NOAA)とその世界歴史的気候ネットワークから毎日データを追跡し、ダウンロードしてきた。

彼は、NOAAが気候データに対して、毎日異なる調整を行っていることを発見した。

米マイアミの国立ハリケーン・センターで作業する男性 (Chandan Khanna/AFP via Getty Images)

「彼らは、データの均質化のために同じコンピュータプログラムを使用し、約24時間ごとに繰り返し調整している」とコノリー氏。「しかし、気温記録ごとに計算される均質化のための調整は、毎日異なっている。非常に奇妙だ」

「ある気象観測所のデータに何らかのバイアスがある場合、コンピュータプログラムには、毎回同じ調整計算を行うことが期待される。私たちは、これが起こっていないことを発見した」とコノリー氏は語った。

こうした懸念が契機となり、スーン氏や彼の同僚たちがこの問題を国際的に調査することになった。

NOAAは気象観測所の履歴情報を保持していないため、CERESの科学者は、ヨーロッパの科学者に連絡を取り、彼らが監督する観測所のデータを見せてもらった。

その結果、NOAAの調整のうちで同じ方法が適用されたのはわずか17%に過ぎないことがわかった。また、NOAAの調整のうち、観測所の観測記録の変更と明確に関連付けられたのは20%未満だった。

「ボンネットの下を覗いてみると、エンジンではなく回し車に乗ったハムスターが走っていたようなものだ」とコノリー氏。「これらの均質化プログラムでは、病気そのものよりも治療法の方が問題であることが分かった」

NOAAの国立環境情報センター(National Centers for Environmental Information)のスポークスマンは、その重要性を軽視したが、同機関は論文で提起された問題に対処するために取り組んでいると述べた。

NOAAの広報担当者は、「NOAAは、GHCNm(月次)バージョン4において、十分に文書化されたペアワイズ均質化アルゴリズムを毎日使用しており、個々の観測点系列に対する特定の調整の結果は、実行ごとに異なる可能性がある」と述べたが、データの均質化に関する懸念があっても、問題の論文は、データを無用または悪化させるという見解を支持するものではないと付け加えた。

「NOAAは、これらの論文で提起された問題に対して、将来、GHCNm温度データセットとそれに付随する文書をリリースすることによって取り組もうとしている」

ヒートアイランド現象

そもそも気温データには均質化の必要性を生み出している大きな欠陥があり、その一つが、ヒートアイランド現象である。

かつては地方であった場所に設置された温度計も、今では道路、建物、空港、都市に囲まれていることが多い。これにより、温度計の周囲に局地的な温暖化現象が発生し、多くの類似した観測点を一緒に調べると、劇的な「地球温暖化」が起きているように見える。

IPCCは、都市のヒートアイランド現象とデータの汚染を認めている。しかし、エポックタイムズの取材に応じた科学者によると、国連機関はそれが軽微な問題だと誤って捉えているというのだ。

新しい査読付き研究で、科学者連合は、IPCCが観測したという19世紀以降の温暖化の40%は、実際にはこの都市の熱バイアスの結果であり、CO2による地球温暖化ではないと推定している。

「陸地、海洋、その他都市以外の場所で記録された気温データを見ると、温暖化はそれほど劇的ではなく、産業革命以前の他の温暖化期と似ている」とコノリー氏は述べ、IPCCは都市のヒートアイランド現象を考慮していないと付け加えた。

コノリー氏と他の科学者が、地方の気温観測所のみを使って気温記録を作成したところ、国連機関が主張する地球温暖化のほぼ半分が消えてしまった。

実際、地方のみの気温記録は、気象観測用気球や衛星データと非常に良い一致を見せた。

まとめると、農村部のみの記録を見れば、適度の温暖化は、西暦1300年頃から1900年頃までの小氷期からの回復に過ぎず、それ自体は西暦800年頃から1200年頃にかけて、バイキングがグリーンランドで農耕をしていた頃、つまり中世の温暖期に続く可能性が高いことを示している。

「農村部の記録だけを使って比べてみると、中世の温暖期は現代の温暖期とほぼ同じ程度だった」とコノリー氏は語る。

小氷期の終焉以降、地球温暖化は続いている。都市部の気温記録を除外すると、地球の主要な気温はすべて「温暖化と寒冷化を周期的に交互に繰り返している」ことを示していると彼は言う。

現在の温暖化は1970年代に始まっているが、当時、科学者たちはまだ1940年代に始まった人為的な地球寒冷化について警告を発していた。

CERESのもう一人の独立系科学者で、コノリー氏の父親であるマイケル・コノリー氏は、地球の陸地表面の約3%しか占めていない都市の温暖化が、実際には対処すべき「大きな問題」になりつつあると指摘した。

「しかし、温室効果ガスを削減するという政策では問題は解決しない」と彼は言う。「それよりも、都市の熱波を減らすために、都市の緑化やその他の対策にもっと投資すべきだ」

2018年2月3日、南極のキングジョージ島で、地球温暖化を研究するために気象観測所を使用する科学者たち (Mathilde Bellenger/AFP via Getty Images)

農村部と都市部のデータ融合

昨年「Journal of Applied Meteorology and Climatology」に掲載された別の論文では、均質化アルゴリズムに関する別の問題が取り上げられた。

ローナン・コノリー氏らが「都市ブレンディング」と呼ぶこの問題は、都市部にある観測所と周辺地域の観測所の気温記録とを比較するものである。

もし、あるデータが他のデータと大きくずれているようであれば、プログラムはそれが非気候的な偏りであり、修正されるべきであると仮定する。

おそらくこれの最大の問題は、都市部の温暖化を農村部のデータと混ぜることで、気温記録全体を汚染してしまうことだ。

その結果、都市部と農村部のデータが混ざり合い、都市部の温暖化の一部が、事実上問題のない農村部のデータと混ざり合うことになる。

「イチゴとバナナをミキサーで混ぜると、イチゴでもバナナでもない均質なミックスができあがるのと同じだ」とローナン・コノリー氏は語る。

「気温データを見ると、均質化された農村部の記録には都市部の温暖化も含まれていることがわかる」

IPCCや他の情報源が引用した「異常な」地球温暖化は、都市の熱によって汚染された都市データにのみ見られる、とコノリー氏。しかし、均質化されたデータを使用すると、都市の熱効果によって、すべてが人為的に温暖化しているように偏ってしまうと指摘した。

「都市の温暖化によって汚染されていない気温データを見ると、気温の変化は産業革命前から、寒冷化期と温暖化期をほぼ周期的に繰り返しているようだ」

「これは、右肩上がりに増加している温室効果ガスの観点からは説明できない。科学者の中で、都市部の温暖化とそれ以外の気温変化を誤って混同してきた人たちは、CO2が主な気候変動の要因であるという信念に凝り固まっているため、世の中の目を事実から注意をそらそうと『燻製ニシンの虚偽』を追いかけていることを示している」

しかし、CERESの科学者が示唆するほど、これらの問題が重要であると誰もが確信しているわけではない。

この分野の専門家として知られ、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の統計学部長であるロバート・ルンド教授は、スーン氏と彼の同僚が提示した議論に「うんざりする」とエポックタイムズに語った。

「多くの気候科学者がデータを整理し分析するのに最適な方法を用いていないのは事実だ」とルンド氏。

しかし、「ゲージの変更と観測所の移転の問題、そして均質化処理における不適切な処理のために、我々が行っている温暖化推計がでたらめだ」というCERESの科学者たちの主張は、正しくないと述べた。

「実際、変化点の問題をどのように処理しようとも、(IPCCのような)グローバルに平均化された系列はすべて強い上昇トレンドを含んでいる。単純なことだ」

均質化の問題は「地球規模での温暖化1.3°Cのうち、100年あたり0.1°Cか0.2°C程度かもしれないが、それ以上ではない」とルンド氏は述べ、CERESの科学者たちを 「不確実性を指数関数的に増大させ、すべての信用を失墜させようとしている 」と非難した。

エポックタイムズは議論の両サイドにいる他の多くの科学者にコメントを求めたが、返答は得られなかった。
人為的な地球温暖化の言説を批判する何人かは、所属機関、同僚、雑誌、資金源からの報復を恐れて、オフレコで話すことを求めた。

その他の問題

1970年代以前の歴史的な気温データは存在しないため、長期的な研究は難しい。
また、ヨーロッパと北米以外では、ほとんどデータがない。

最近まで、地球表面の3分の2以上を占める海洋で測定されたデータもまばらで、主に北半球の主要航路で時々観測される程度だった。

エポックタイムズは1月に、科学者とNOAAの気温記録を調査した他のグループが行った研究を引用して、「NOAAは、気候観測所の90%以上が都市の熱バイアスの影響を受けていると批判されている」と報じた。

気象学者アンソニー・ワッツ氏の調査によると、2022年までに気象観測所の約96%が、信頼性に関する政府独自の基準を満たしていないことが明らかになった。

マイケル・コノリー氏は、気象観測所が設置された当初は、長期的な気候変動ではなく、日々の天候を監視するためのものだったと指摘し、次のように述べた。

「私が個人的に話をした科学者のほとんどは、現在の気候変動に関する議論に疑問を抱いていることは認めている。しかし、自分たちの組織が被害を受けるから口にすることはできないと」

2023年2月8日、カナダ・オタワのに設置されたミニ気象観測所の調整を行う土木環境工学の教授 (Dave Chan/AFP via Getty Images)

スーン氏は、気候変動の測定は、特にデータが不完全であるため、「非常に難しい科学的問題」であることを認めた。しかし、科学者にはそのことについて正直に話す義務があると強調した。

「多くの研究グループは、助成金の獲得や研究成果の出版を急ぐあまり、自分たちが使っているデータの深刻な問題を見落としている」と述べ、多くの科学者が雇用の安定を懸念し、声を上げたがらないと付け加えた。

しかし、この問題を目の当たりにしたアナリストの中には、意図的な詐欺だと言う人もいる。

ウェブサイト「Real Climate Science」の科学者でエンジニアのトニー・ヘラー氏は、過去の気温データも地理データも「ひどく不十分」だと述べた。

ヘラー氏は、均質化とブレンドに関する懸念に同調し、エポックタイムズに「非常に悪い材料をたくさん混ぜると、良いスープができるというのが運用理論のようだ」と語った。

また同氏は、NOAAが「温暖化の外観」を糊塗するためにデータを改ざんしたと非難し、地球や米国の気温記録を「科学ではなくプロパガンダ」と指摘した。データに誤解を招くような調整が加えられ、横行しているより広範な欺瞞は「絶対に意図的」であると強調した。

「地球温暖化と気候変動を推し進めるために、何兆ドルもの資金が注ぎ込まれている」

現在に至るまで、スーン氏らの研究は、査読付き文献で反論されていない。

しかし、2023年10月にエポックタイムズがこのことについて報じた際、連邦政府や気候運動に関連する他の機関で働く一部の著名な科学者は、スーン氏らを侮辱した。

IPCCもNASAのトップ気候科学者ギャビン・シュミット氏も、コメントの要請には応じなかった。