中国でインチキなのは、巻き尺(メジャー)ばかりではないらしい。
中国の一部のガソリンスタンド(加油站)で「給油されたはずのガソリン1リットル(1000ml)が、実際には700mlしかない」ことを指摘するSNS投稿が注目を集めている。投稿者が持参した計量器でテストした結果、そのような「不正」が発覚した。
要するに、ガソリンの給油機が不正をはたらくよう、はじめから細工されていたのだ。
このような現象について、中国時事評論家の李沐陽氏は、次のように指摘する。
「中国で、実際が購入通りの分量ではなかった、という現象は以前からあった。はじめから、表示される目盛りが実際より多くなるように作られる秤もあるほどだ。今の時代は、人々の道徳がはなはだしく低下しているため、何が起きても不思議ではない」
「君子愛財、取之有道(君子、財を愛す、之を取るに道あり)という諺がある。徳のある君子は、財を好むにしても、それを得る上では道徳を重んじる。つまり、不道徳な手段で金儲けしてはならない、という意味だ。より多くの利益を得るために、このガソリンスタンドは機械に細工をして、客を騙した。しかし、不正が発覚すれば信用を失い、客足も遠のく。ウソをつけば、結局はバチが当たって損をするだけだ」
「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一(1840~1931)は、その著書『論語と算盤』のなかで「道徳経済合一説」を説いた。
「富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ」。道徳なくして健全な経済なし、という渋沢翁の言葉は、まさに現代日本にも通じる永遠の教訓であろう。
その渋沢栄一氏の肖像が、2024年から1万円札の「顔」となる。そのことを、私たち日本人は大変喜ばしく思うのだが、いっぽうの中国はどうか。
現行の中国の紙幣は、1元から100元まで、なんと全ての種類が「毛沢東」である。見たくなくても見てしまう「顔」がこの人物では、精神衛生上、非常によくない影響が出るだろう。
中国ではニセ札が多く出回っているため、スマホを使った電子決済が主で、現金の使用頻度は少ないと言われている。
しかし、それにしても「毛沢東の紙幣」では、それが発する魔性の弊害により、道徳ある経済活動にはほど遠いのが現状だ。ガソリンの分量のごまかしは「氷山の一角」に過ぎないと見るべきかもしれない。
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