米国の南部国境で不法入国を試みる中国人の件数が、前年同期比で約7倍増加していることが米国税関・国境警備局(CBP)の発表データにより明らかになった。専門家は、急増の原因はゼロコロナなど共産党政権がもたらす不安定な経済情勢や非人道的な措置だと分析する。
10日に発表された米国税関・国境警備局の統計によると、2021年10月〜2022年1月に南部国境で取り締まった中国人は366人だったの対し、今年は2999件と前年同期比で約7倍となった。 また、2022会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日)の総数2176件を上回っていたこともわかった。
国土安全保障省によると、CBPの取り締まりデータには公衆衛生法の「タイトル42」に基づいて送還された中国人や、移民法「タイトル8」に基づいて逮捕された不法移民が含まれている。
いっぽう、南部国境における全体の不法移民取り締まり件数は減少傾向にある。先月の取り締まり件数は15万6274人と、過去最高だった12月の25万1978人から4割近く減少した。米国税関・国境警備局によれば、バイデン大統領が1月に発表した、中南米からの移民希望者を条件付きで受け入れる措置が一因にあるという。
中国問題専門家のゴードン・チャン氏は米フォックス・ニュースで、厳しい行動制限を伴う中国の「ゼロコロナ」政策や不動産価格の下落といった不安定な社会情勢を背景に、国外へ逃げ出す中国人が急増していると指摘した。
その一方で急増する中国人の不法入国は「中国共産党が工作員を密入国させる絶好の機会になっている」と述べた。
国家安全保障省も中国のスパイ気球が米国を横断したことに危機感を示し、不法入国を試み逮捕された中国人についても「帰国後に迫害を受けることを示す十分な証拠を示さない限り、迅速な送還手続きを取る」としている。
南部国境をめぐっては、中国が違法に製造した鎮痛剤フェンタニルの主な密輸経路にもなっており、国境封鎖を求める声も上がっている。ケビン・マッカーシー下院議長は10日、先月設立した「米国と中国共産党の間の戦略的競争に関する特別委員会」を通して、フェンタニル問題や不法移民に対処していくと強調した。
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