米議会の超党派組織「中国問題に関する米連邦議会・行政府委員会(CECC)」は16日、アマゾンに書簡を送り、同社の中国下請け企業の違法行為告発で2年間服役した元従業員・唐明芳氏をサポートするよう求めた。CECCが同社に対応を促す書簡を送ったのは今回で2回目。
唐氏は中国裁判所に有罪判決の取消、損害賠償を求める訴訟を起こした。
CECCの2人の委員長、ジェフ・マークリー上院議員とジェームズ・マクガヴァン下院議員は、アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)宛ての書簡で同社に対し、唐氏の訴訟をサポートすることを求め、懲役刑と罰金刑を受けた同氏に補償金を払うよう促した。
42歳の唐氏は、中国湖南省衡陽市のフォックスコン工場の物流管理のエンジニアだった。Amazon EchoやKindleなどを生産する同工場で、高校生や派遣労働者が違法に働かされ、適正な労働報酬や福利厚生を受けていないことを、中国の労働者権利の擁護に携わる米NGO、チャイナ・レイバー・ウォッチ(China Labor Watch、CLW)に告発した。英紙ガーディアンがこの件を報道した。
唐氏は2019年9月に中国当局に逮捕され、翌20年7月、衡陽市法院(裁判所)から、商業秘密侵害の罪で懲役2年と罰金1万元(約18万円)の実刑判決を言い渡された。
アマゾンはスタッフをフォックスコン工場に派遣して実態調査を実施し、低賃金労働者に補償を払ったとされている。
刑期を終えて釈放された唐氏は、自分の有罪につながった自白は拷問によって強要されたものと主張し、有罪判決の取り消しを求める訴訟を起こした。
唐氏は「私は有罪を認める供述書への署名を固く拒否した。怒った警官らは私の手錠をベッドのフレームにかけ、一晩中、立つことも座ることもできず、かがんだままの姿勢で過ごしていた」と説明した。
服役中に父親が亡くなったことを明らかにし、「私の投獄は自分自身と家族に計り知れない苦痛をもたらした」という。
唐氏が服役中だった昨年7月下旬、CECCの同2委員長はアマゾンに、中国当局に唐氏の無罪釈放を働きかけるよう求める書簡を送ったが、アマゾンから回答はなかった。
唐氏は釈放後の今年1月、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏に手紙を送り、改めて無罪であることを伝えたが、返信はなかった。
今回のアマゾン宛てのCECCの書簡に、委員であるマルコ・ルビオ上院議員、クリス・スミス下院議員も署名した。
CLWは1月30日付の声明文で、アマゾンに対し、唐氏の訴求に向き合うよう求めた。
(翻訳編集・叶子静)
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