「金とビジネス…中国共産党の報復恐れないで」NBAカンター選手、仲間に呼びかけ

2022/02/03
更新: 2022/02/03

人権問題に声をあげる米プロバスケットボール(NBA)のエネス・カンター・フリーダム選手は、経済的な報復を恐れて中国共産党の人権侵害について多くのスポーツ選手や同業界は公の場で態度を示すことができていないと語った。

米保守系シンクタンク・ヘリテージ財団が1月31日に開催したイベントにオンライン出演したカンター氏は「彼ら(スポーツ選手や業界)は中国で大量虐殺が行われていることを知っているし認めている。しかし、残念なことにビジネスとお金が絡んでいるために、怖くて何も言えないのだ」と発言した。

中国と大型契約を結ぶ一部の選手は、中国共産党の人権侵害に目をつむるよう助言してくることもあるという。「それでも私を支持し、祈ってくれている」と選手が置かれている状況にも配慮を見せた。

中国共産党の人道に対する罪に沈黙する業界はスポーツ界に留まらない。ユタ大学の消化器がん専門医であるウェルドン・ギルクリーズ博士は昨年9月に参加したオンラインの医療倫理シンポジウムで、中国国家主導の臓器収奪について医学部の指導者たちと話し合った際、大きな反発があったと明らかにした。

ギルクリーズ氏によれば、ある責任者は中国で残虐行為が行われていることは「疑う余地がない」としながらも、もし言及すれば所属大学に中国留学生が入学しなることを恐れていたという。多くの米大学は財政悪化から留学生の納める学費に依存が高まっているといわれている。

経済的利益が損なわれるのを懸念して「個人レベルでは人々は臓器狩りに反対するが、組織レベルになると人は驚くほど口を閉ざす」とギルクリーズ氏は指摘した。

中国共産党は新疆ウイグル自治区や香港をめぐり、一切批判を受け付けない姿勢を鮮明にしている。2019年には、NBAヒューストン・ロケッツのゼネラル・マネージャー(当時)が香港の民主化運動を支持する内容をツイートしたところ、中国国営テレビ(CCTV)はNBAの一部放送を中止すると発表した。

北京冬季五輪においても、北京冬季五輪大会組織委員会の高官は中国の人権問題について発言する選手に対し、参加資格を取り消すなどの処分を行うとしている。

ソーシャルメディアを活用して中国での人権侵害を批判してきたカンター氏は、中国の大手メディアポータル「捜狐」で、セルティックスの名簿からひっそりと名前が削除された。中国でNBAの試合配信を行なっている中国ネット大手の騰訊(テンセント)は、カンター氏がチベットへの弾圧停止を求める動画を公開したことでセルティックスの試合配信を中止。1月31日時点では、放送サービスは再開されていない。

犠牲を払っているのかとの質問に、カンター氏は「誰かがやらなければならないんだ。例え『悪者扱い』されたとしても…」と答えた。「多くのアスリートが私の仲間になってくれることを願っている。長い道のりかもしれないが、私はいつも神と共にあると言っているよ」

米国をはじめ国際関係担当。