米トランプ政権、中国軍需企業への投資を禁止

2020/12/31
更新: 2020/12/31

米財務省はこのほど、大統領令に基づき、米上場投資信託 (ETF) とインデックスファンドを通じて、中国共産党系の軍事企業や中国軍が所有、または管理する系列企業に対して投資することを禁止する。トランプ政権による対中策は、第一期政権の終わり間際にも強硬姿勢が貫かれた。

米財務省が12月28日に発表した「中国の軍事企業に関するよくある質問(FAQ)と関連リスト」は、11月に署名された大統領令13959号に基づき法令の詳細を発表した。

財務省は、中国軍の系列企業とは「公開株式を発行するすべての事業体」を指し、「1つ以上の共産主義中国の軍事企業(Communist Chinese military company)が50%以上所有している」または「13959号で特定された1つ以上の共産主義中国の軍事企業に支配されているとみなされた事業体」をいう。

また、国防長官は「系列企業を含めて、米国の領土や所有地で活動する共産主義中国の軍事企業であると判断した組織や個人をリストアップし続けることができる」という。

財務省の外国資産管理局(OFAC)は、中国軍の企業とみなされた企業リストをウェブサイトで公開している。

「(投資の禁止で)米国の資本が中国の軍事、諜報、安全保障の発展と近代化に寄与しないことが保証される」とマイク・ポンペオ国務長官は12月8日の声明で述べている。

ポンペオ氏は声明の中で、この大統領令は「個人、機関投資家、年金基金、大学基金、銀行、債券発行者、ベンチャーキャピタル会社、プライベートエクイティ会社、インデックスファーム、その他海外で活動するものを含む米国企業、米国人のすべての取引に適用される」と述べた。

また、2021年1月11日より、米国の投資家は共産主義中国軍による株式保有比率にかかわらず、公開市場、非公開市場における債券、株式など証券の取引を停止し、完全に売却する必要がある。

中国人投資家による米国への投資の抑制を支持する元ホワイトハウス高官のロジャー・ロビンソン氏は、ロイターに対し、財務省が公表したFQAは「米国の安全保障関係者にとって、大統領令による資本市場制裁措置を維持するための取り組みの明確な勝利だ」と述べた。

11月の大統領令は、国防総省に中国の軍事企業のリストの作成を義務づけた1999年の法律の実施を求めている。国防総省は2020年、ようやくこの命令の執行を始めた。同省はこれまでに中国軍関係の企業として、中国の石油で第三の規模である中国海洋石油集団(CNOOC)や、中国の大手半導体ファウンドリーである中芯国際集成電路製造(SMIC)を含む35社を、中国の軍事関連企業として指定している。

同大統領令は、中国共産党が軍民融合と呼ぶ民間技術を吸収して軍事力発展を図る国家戦略を実行している、と述べている。

マイク・ポンペオ国務長官は8日の声明で、「習近平政権の下で、中国共産党は『軍民融合』を優先している。中国企業や研究者は中国軍と技術を共有しなければならない。目的は人民解放軍が軍事的に優位に立つようにすることだ。中国軍の核心的使命は、中国共産党の権力を維持することだ」と述べた。

国防総省のリストには、中国航空工業集団(AVIC)、華為技術(ファーウェイ)、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などの国際的な企業が含まれている。リストに載る企業の多くは世界中の証券取引所で公開され、何百万人もの米国の投資家が年金基金を通じて、知らず知らずのうちに、これらの中国企業に投資している。

対中強硬論に積極的なマルコ・ルビオ上院議員は、この大統領令に支持を示した。ルビオ氏は11月12日の声明で、「中国共産党による米国資本市場の搾取は、米国経済と国家安全保障にとって明らかで継続的なリスクだ。トランプ政権による行動は、米国市場と投資家を保護するための歓迎すべき第一歩だ」「今後の米国の明確な指標となっている」と書いた。

(MIMI NGUYEN LY/翻訳編集・佐渡道世)