米国マルコ・ルビオ上院議員は、国防総省や商務省のブラックリストに掲載された中国企業を、米市場から上場廃止させ、上場を阻止する法案を提出した。米国の投資に依存している中国企業に打撃を与え、米金融市場から中国マネーの排除を後押しする狙いがある。
提出された法案は「米国金融市場の誠実とセキュリティ法(American Financial Markets Integrity and Security Act)」と名付けられ、ルビオ議員とマイク・ブラウン上院議員 (共和党) が共同提案した。
法案は、米投資会社、退職基金、保険会社が、商務省の取引禁止リストに載る中国企業や、米国防総省が作った中国軍支援企業リストに載る企業の株式取得を禁止している。法案が可決されれば、取引禁止リストに載っている中国企業は、1年の猶予期間を経て、米国の取引所で上場を禁止されることになる。
商務省や国防総省のリストには、人権侵害に関与する企業と指摘された監視カメラ大手・杭州ハイクビジョンや、国有通信大手・中国移動チャイナモバイル、中国電信チャイナテレコムなどが含まれる。
ルビオ氏は提出した法案の声明の中で「共産党に私たちの金融システムは利用できなくなることを明白にする」と書いた。
5月、米上院は、中国企業が米国の監査規則に従わない場合、取引所から排除する法案を可決した。8月には、公開企業会計監視委員会へ会計書類の提出を義務づけ、この義務を怠ると上場廃止もありうるとした。
ロナルド・レーガン政権の元ホワイトハウス高官で、米国資本市場における中国企業の規制強化を求めてきたロジャー・ロビンソン氏は、ロイター通信に対して「中国本土企業は、インデックスをベンチマークとする上場投資信託 (ETF) を通じて、米国資本市場の規制をされていない、また、審査もされていない『バックドア』で米市場に自由なアクセスを持っていた」と指摘。ルビオ議員の法案は、この穴を埋める法律だと指摘した。
しかし、アリババグループ、京東(JD.com)、網易(NetEase)など、米国に上場している中国企業の多くは、外資を引き付けるため、香港で二重上場を模索している。アリババのアント・グループもまた、香港と上海で二重上場し、新規上場は世界最高となる340億ドルが見込まれている。
米誌「バロン」によると、アナリストらは、中国企業が米監督機関を迂回して投資を呼び込もうとしているが、米議会は超党派で対中強硬姿勢が勝っており、今回のルビオ議員の法案よりも、さらに中国資本に厳格な法律が制定される可能性もあるとみている。
(翻訳編集・佐渡道世)
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