米教育省のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は、10月20日に発表した報告書で、昨年の調査で米大学が65億ドルを超える外国資金を開示しなかったと指摘した。
同報告書は、未申告資金の中でも、中国、ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールなどの国からの資金は学問の自由を脅かす可能性があると警告した。中国通信機器大手ファーウェイによる米大学での大規模な投資は特に問題視されている。
デボス教育長官の指示で、米商務省はハーバード大学、エール大学、スタンフォード大学、ジョージタウン大学など有名大学を含む12の大学を調査した。その結果、計65億ドルの海外資金が申告されていないことが判明した。
1986年に制定された「米国連邦教育法」第117条の規定によると、教育機関は25万ドルを超える外国からの寄付や契約金を受け取った場合、「申告する必要がある」としている。
しかし、何十年にもわたり、この法律は十分に実施されていない。一部の外国勢力は経済スパイを買収し、機密性の高い研究結果の窃盗や学術成果の操作、プロパガンダの推進を行っている。
多くのトップ校はむしろ、より「積極的」に外国資金を求めている。
報告書はさらに、「外国からの資金源のうち、少なくともその一部は米国の敵対国からのものだ。彼らは投資(寄付や契約)を利用してソフトパワーを広め、機密情報や研究成果の窃盗、プロパガンダの推進を行っている」と指摘した。
報告書によると、調査された教育機関のほぼすべてがファーウェイからの資金を受け取っていた。同企業から資金を受け入れた大学は、核科学、ロボット、半導体、オンラインクラウドサービスなどの戦略的センシティブな研究を行っている。
教育省はさらに、他の中国企業2社は米大学と共同で集団監視や予測行動に関する研究を行っており、その研究成果は中国共産党(以下、中共)によって不適切な目的で使用される可能性があると警告した。
少なくとも1校の大学は2006年以降、中国政府または企業と契約を結んでいる。
また、2校の大学は、「カタール財団」(Qatar Foundation)からの寄付を開示していないことも判明している。同財団は金銭的な影響力を行使し、言論の自由を抑圧していると言われている。
デボス氏は、「外国資金による大学への不当な影響力は脅威となっている」と警告した。
昨年、米議会が発表した超党派の報告書は、「孔子学院」を開設した高等教育機関の7割が、寄付金を米国政府に届け出ていない」と警告していた。
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