インドは8月11日、スパイ容疑と、地下銀行ハワラを使用した詐欺の疑いで中国人の男を逮捕した。関連金額は100億ルピー(約1億3400万ドル)という。印中関係が緊迫している今、一部のインドメディアでは、「中国当局の扇動で意図的にインドの経済安定を損なっているのではないか」との憶測が流れている。
「ハワラ(Hawala)」とは、バングラデシュやインドなどで、地方の隅々にまで浸透している非公式の送金システムであり、ヒンズー語で「信用」という意味だ。安く早く送金できるうえ、規制もなく、税金もかからないため、近年では犯罪者やテロリストが資金洗浄に利用している。
インド当局は、中国関連の資金洗浄詐欺の疑いがあるとして、デリー、ガジアバード、グルグラムを含む21カ所を家宅捜索したほか、複数の銀行員に対しても突撃捜索を行ったという。
当局の捜査過程で、「Luo Sang」(羅桑、音訳)という中国人の男の関与が浮上した。
インド誌「インディア・トゥデイ(India Today)」によると、「42歳の羅容疑者は少なくとも5つのインド企業の取締役を務めており、それら企業のほとんどの株式を支配し管理している。また、同容疑者はインドの滞在資格を取得しやすくする目的で、インド人女性と結婚した」という。
インド警察によると、同容疑者はチベットのラサ出身だという。
過去3年間、羅容疑者は、バンドハン銀行とICICI銀行の銀行員の助けを借り、ハワラチェーンを通じて毎日約3千万ルピーの現金を扱っていた。また、同容疑者は40以上の銀行口座を持っており、海外でのハワラ取引には香港ドルと米ドルが使われていた。
中国の子会社を通じての詐欺活動
インド直接税中央委員会(CBDT)は、「羅容疑者は関与する詐欺を中国にある子会社を通じて働いており、関与金額は100億ルピー以上である」と述べている。「羅容疑者と中国当局のつながり」を調査中だという。
同容疑者のソーシャルメディアのプロフィール(別名義で登録)によると、「中国銀河証券に勤務し、2008年に退社した」とある。
同容疑者は2018年、中国スパイおよび資金洗浄の疑いでインド警察によって逮捕され、その後証拠不十分で釈放された。
中印国境の緊張状態の中、インドメディアは、「この事件はすでに悪化した両国の関係にさらに打撃を与える可能性がある」と報じた。
(大紀元日本ウェブ編集部)