中国の通信大手・華為技術(ファーウェイ)が、カナダに数百万枚のマスクを寄付した。両国の関係は華為技術の幹部逮捕以来、悪化している。いっぽう、華為技術はカナダの5G市場参入を狙っていることから、今回の医療品の寄付は、中国共産党の下心があるとの見方がある。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、寄付を受け入れる一方で、5G配備を含む政策決定には影響しないと強調した。また、医療品は基準に適しているかどうかを検査するという。
同国ブリティッシュ・コロンビア大学歯学部の幸琪(HsingChi von Bergmann)教授はラジオ・フリー・アジアの取材に対して、中国の医療用品は品質管理が劣悪で、基準に満たないものが世界中に広がっていることが分かっているので、カナダでの品質検査は時間も労力も浪費することになると指摘した。「なぜカナダは中国からの物資調達を好むのだろうか。他にも調達先はあるはずだ」と述べた。
また、幸琪氏は、華為技術の寄付の背景にある政治的な動機を疑っている。「寄付そのものは良いことだが、華為技術が何を目的としているか、企業からの寄付は善意に満ちていると考えるべきではない」
2018年12月、カナダ政府は米政府の要請でファーウェイ創業者の娘で同社の最高財務責任者(CFO)を務める孟晩舟氏を、対イラン制裁違反で逮捕した。米政府は、ファーウェイが実質的に中国の情報機関であると認識し、締め付けを強化している。いっぽう、中国政府は、カナダに対する報復措置として、カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏と、事業家のマイケル・スパバ氏を「スパイ容疑」で逮捕した。以後、両国関係は冷え込んでいた。
前・駐中国カナダ大使ガイ・セイント・ジャック(Guy Saint-Jacques)氏は、華為技術に下心があるのは間違いないと考えている。
前大使はRFAに対して、カナダ国内の急激な医療資源の不足により、華為から提供された医療品を寄付として受け付けるべきではないとし、「それを購入すれば疑問の声を打ち消すことができる」と述べた。
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