中国当局は1月7日、独占禁止法の改正案を発表した。違反した企業には最大で売上高の10%、売り上げが大きくない場合でも、これまでの100倍にあたる最高5000万元(約7億8000万円)の罰金が科される可能性がある。同法はこれまで、主に本土に参入した外資系企業を対象にしている。
中国国家市場監督管理総局は、11年間実施してきた独占禁止法を初めて改定し、現行の57項目から64項目に増やす。
罰金額について、「前年度売上高の1%以上10%以下の罰金」の内容は変わらないが、違反した事業者は売上が少なくても、課徴金の最高額を50万元から5000万元に引き上げるとしている。同案は現在、意見公募が行われている。
改正案には、中国規制当局が、インターネット企業によるネットへの影響、その規模、製品やサービスを管理する能力を監視する責任を持つとの文言が含まれている。このことから、当局はこれまでイノベーションと発展を促すために監督が緩やかだったインターネット・IT部門にも、監視の目を強化していくとの見方がある。
国内メディア自由財政経済網が1月7日に引用した分析によると、これまで中国政府は、反ダンピング調査を通じて、特定分野に大きな市場シェアを持つ外国企業をターゲットにし、市場に介入していた。
特に、海外のブランドメーカーの価格調整について、巨額の罰金を命じてきた。つい最近も、市場監督管理総局は2019年12月27日、日本トヨタの高級車ブランド「レクサス」は、中国での販売価格が「独占禁止法」に違反するとして、江蘇省市場監督管理局はトヨタに対して8761万元(約13億7000万円)の罰金を科した。この金額は、トヨタの2016年の江蘇省での売上高の2%に相当する。
2019年、中国全体では車の販売台数が低調で、11カ月間の生産台数が前年比で9%減少したのに対し、レクサスは同期間中に21%増、累計約18万200台を販売した。トヨタの中国全体での販売車種の中でも好調なブランドの一つだった。しかし、今回の独占禁止法違反の命令で、今後の販売に影響が出ると予測される。
米フォード社は中国の重慶長安汽車と合弁の「長安フォード」を運営しているが、2019年6月、最低販売価格を限定したとして、「独占禁止法」違反とみなされ、罰金1億6280万元(約25億円)を科された。これは、長安フォードの2018年の重慶における売上高の4%に当たる。
中国が独占禁止法を施行してから11年、当局が「価格設定が独占禁止法違反」とみなし巨額の罰金を科した外資系企業は、これまでも多数あった。米GM社の合弁企業は2016年に2億元(約34億円)、米チップメーカーのクアルコムは2015年に60億8800万元(約1150億円)、独フォルクスワーゲン傘下の独アウディは2014年に2億4858万元(約34億円)、米ジョンソン&ジョンソンは2013年に53万元(約848億円)など。
(張玉潔/翻訳編集・佐渡道世)
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