中国人観光客の女性が勝手に捨てた「香港頑張れ」と書かれた絵馬が、香港市民と日本の友人、神社の協力により発見された。しかし、絵馬を捨てた女性は「再び捨てる」と中国SNSでほのめかしている。絵馬探しを手伝った友人は、警察へ情報を提供しているという。
中国SNSの情報によると、京都の神社を訪れた女性は、香港自治と民主を支持する絵馬を見て憤怒し、無断で掛けてある場所から取り除き、境内の人目の付かない位置に埋めた。SNS微博のアカウント「樊烨烨烨」は9月6日、香港の平和と民主を祈る絵馬を無断で取り、埋めたことを投稿した。「(絵馬を)へんぴなところに埋めてやった」また、香港市民に対して「中国を離れたら何の価値もない」などと罵詈雑言(ばりぞうごん)を書き込んだ。さらに、絵馬を土の上に置き、埋める様子を撮った写真を掲載した。
友達の写真です。絵馬はもう大丈夫です! pic.twitter.com/4a8zzkkq8R
— Eason @ Back in Hell (@AoiKonpeito) September 12, 2019
絵馬には「香港を取り戻せ」「時代を塗り替えよ」「5大要求、一つも欠けてはいけない」などの文言が書かれている。6月から香港で逃亡犯条例改正案をめぐって、市民は抗議デモを続けている。最大200万人が参加したデモは世界各国が注目している。
これに対して、中国国内では官製メディアが、香港民主デモについて「暴動」「テロ行為の可能性がある」などと伝えており、市民デモを行う香港市民に大陸出身者は憎悪を抱く傾向がある。
日本のSNSで中国問題を積極的に発言する、日本の国籍取得をした元中国人のユーザーが、この出来事を周知した。すると、ある香港の女性アカウントは、埋められる前の絵馬の写真をSNSに掲載し、「それは私のものです」と名乗り出た。彼女によると、大阪にいる友人が香港市民の民主化を祈願するために、京都の八坂神社に絵馬を掛けたのだという。
別の協力者によると、絵馬を捨てた人物のアカウントに映る建物と、ウェブ地図機能を確認して、捨てられた位置を突き合わせて確認した。
大紀元が八坂神社に聞いたところ、12日に「香港の友人のために、埋められた絵馬を回収したい、という問い合わせがあった」として、神社でも絵馬の回収に協力したという。
絵馬は境内の中だが、人目に付かないところに埋められていたという。発見した絵馬は、香港の友人の希望により、泥を落としきれいにして、再び境内に掛けたという。
「絵馬は、人それぞれがいろいろな思いを込める。神様に見ていただくものだ。見知らぬ人に勝手に取られてしまうのは残念だ」「祈念するものを粗末に取り扱ってはいけない」と八坂神社は大紀元の取材に答えた。
この一連の出来事は、香港のSNSに広がった。「日本の友人、ありがとう」「神様を大切にしている文化がある。素晴らしい行為だ」などのコメントが相次いだ。
樊烨烨烨は、9月11日に微博で「私の行為が日本の法律違反だろうが神への冒涜だろうが、絵馬を取る」と述べ、尖閣諸島の領土を主張したり、香港自治の拒否などを主張している。「私は中国籍だから、人民解放軍に守られている」とも付け加えた。
絵馬が神社らの協力を受けて発見されたとの報を知って、樊烨烨烨は「明日再び神社に行き、絵馬を取る」と中国微博に書き込んでいる。このため、絵馬探しを手伝った香港市民は、京都警察へ情報提供したとSNSに書いている。
(文・佐渡道世)
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