中国の労働収容所でダイオード製造 日本にも出荷か

2019/06/08
更新: 2019/06/08

拷問や虐待があるとして悪名高い中国遼寧省馬三家労働収容所の内部の様子を捉えた映像がこのほど、公開された。撮影時期は2008年。中国でオリンピックが開催された年だ。華やかな「平和の祭典」の舞台の裏で、中国国内で非人道的行為はずっと続いていた。

映像は、中国で12年間、投獄された法輪功学習者の于溟さんが、秘密裏に撮影したもの。于さんは2019年に出国し、在米の人権団体に提出した。収容者らは室内で、山積みのダイオードをひたすらゴム製マットにこすりつける作業をしている。

于さんによると、収容者は1日15時間、無給の労働を強いられていた。食事を満足に取れない日が続いていた。ある映像には、主食のとうもろこしの粉で作った蒸し物と、キャベツの葉が数枚しか入っていないスープが映っている。

別の映像では、疲れきった収容者が、ベッドではなく、作業台の下の床で丸くなり、休みをとっている。また、この非人道な待遇に抗議したため、酷く殴打された人物が映っている。ベッドに束縛された人、頭部を負傷した人、いずれの人物も、表情には無力感がただよう。

企業家でもあり、法輪功学習者である于溟さんは長らく、この遼寧省の馬三家労働収容所で服役し、拷問を受けていた。必死の隠し撮り映像は、ピンホールカメラで撮られている。

台湾企業を通じて日本メーカーにも出荷か

ダイオードは当時、非常に収益性の高いビジネスだった。共産党政権の中国では、収容所の収容者を利用して、人件費を発生させずに、国内外に出荷していた。

于溟さんは「真、善、忍」を基準に修煉する気功法・法輪功を学んでいる。1999年7月、当時の中国共産党党首・江沢民の命令によって中国全土で法輪功に対する迫害が始まり、于さんが経営していたアパレル会社は圧力を受け閉鎖、彼自身ものちに拘束された。法輪功の情報を伝える明慧ネットによると、この弾圧政策により、中国の収容所には、常に数百万人の法輪功学習者が不法に投獄されている。

この当時、主に収容者たちが製造していたのは、台湾企業の唯聖電子有限公司(GW Semiconductor)(グッドワーク)のダイオードという。于さんによると、グッドワークの社員とされる人物が、収容者にダイオードの製造方法、不純物の除去方法などを指導するために、しばしば馬三家労働収容所を訪問していたという。

グッドワークによる、ダイオードの製造工程表(于溟さん提供)
グッドワークによる、ダイオードの製造工程表。「馬三家一大隊」とある(于溟さん提供)

明慧ネットには、いくつかのグッドワークに関する記事がある。2008年8月24日、台湾グッドワークの関連会社である瀋陽固得沃克電子有限公司(瀋陽グッドワーク・エレクトロニクス)は、「労働収容所の収容者に強制労働させている」という内部情報を伝えた。

この記事によると、グッドワークのダイオードは、馬三家教養院第一労働教養所で一度目の工程が行われ、次に瀋陽第二監獄に製品は送られ、次の工程を引き継いでいる。

同年1月11日の記事は、この「強制労働で作られた製品が国際市場に出回ることは、国際貿易法と不当競争法に違反する」と伝えた。台湾のグッドワークのホームページには、会社概要として瀋陽グッドワーク・エレクトロニクスの「工場」があり、資本は700万ドル、生産能力は毎月3億2000万ドルという。

会社説明では、瀋陽グッドワーク・エレクトロニクスの「工場」の面積は、「32万4600平方フィートで、毎月3億6000万個のダイオードを生産している。瀋陽グッドワークはダイオードの国内大手メーカーの1つ」と説明している。

「当社の製品は主にヨーロッパ、日本、アメリカ、韓国、東南アジア、香港、台湾などを含む国と地域に販売されている。パナソニックを含む国際企業のダイオードサプライヤーである。取引先は松下電器、サンヨー、日立、加賀、ダイヤモンド、日本電産、パンテン、コンペル、ドンヤン、マイクロスター、ジーン、スリーソナ、リニア、ノキアなど」

明慧ネットには、法輪功学習者が収監されている収容所などの施設で、ダイオードが製造されているとする記事は84本ある。労働教養所、強制収容所、刑務所など少なくとも13の施設で、ダイオードの製造が行われている。最も古い記事は2001年、最近の記事は2016年5月。最新記事では、遼寧省本渓市の威寧強制労働収容所に不法に拘束された法輪功学習者は、造花の製造、ダイオードの修理などを行ったという。

米中貿易交渉と強制労働

収容者の話では、一人当たり毎日10キロの製造を強いられている。たとえば、グッドワークのダイオードの部品「SR560」は、10キロあたり1236ドル。しかし、収容者たちには、給与はない。

米中貿易戦の開始以来、これまで、人権問題が議題には上がっていないが、今後、取り上げられると予想されている。ヘリテージ財団のアジア研究センター所属政策アナリストのオリビア・エノス(Olivia Enos)氏は大紀元に対して、人権問題に取り組むために、いくつかのメカニズムがあると述べた。

最初に、中国の強制労働や弾圧政策にグローバル・マグニツキー法を適応すること。さらに、米国が輸入する製品のなかに、こうした強制労働により生産された製品がないかどうかを、商務省、税関、国境警備隊が連携して調査する。そして「制裁措置を通じて米国の敵対者を排除する法」の権限で、これらの強制労働に関する製品の輸入を停止することができる、と述べた。

 

(翻訳編集・佐渡道世)

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