欧州議会、中国人権問題に関する決議案可決「拘禁施設の閉鎖」求める

2019/04/22
更新: 2019/04/22

欧州議会は18日、中国の人権問題を批判する決議案を可決した。決議は、中国新疆ウイグル自治区にある集中管理施設をすべて閉鎖するよう求めている。

決議は、少数民族が直面する人権環境は急速に悪化しており、基本的権利が失われているとした。中国政府に対し、少数民族であるウイグル人とカザフ人、チベット人に対する恣意的な拘禁を止めるよう求めた。

国連の推計によると、中国では現在、政治的な「再教育」の名目で、数十万人から数百万人以上のウイグル人が拘禁されている。

欧州議会は、新疆ウイグル自治区の集中管理制度が、中国のほかの地域にも拡大しているとの情報にも懸念を抱いている。中国には罪の有無にかかわらず市民を拘禁する施設が存在していることに言及し、これらをすべて閉鎖し、即時かつ無条件で拘留者を解放するよう要請している。

決議は、中国政府に対して、クリスチャンや法輪功学習者に対する迫害も直ちに停止するよう求めた。

中国の宗教および少数民族に関する決議は、賛成505票、反対18票、棄権47で可決した。

中国憲法36条には、「すべての市民の信仰の自由、少数民族の権利が保護される」とある。また、国際規約の市民および政治権利にも、中国は1998年に署名している。しかし、このたびの決議で欧州議会の議員たちは、中国はこれらに批准していないと指摘した。

議案は、1970年代の経済改革以来、「宗教と良心の自由は低水準に達している」と述べ、中国は「世界でも最大規模の宗教の収監所のひとつ」と表現した。

ドイツの欧州議会議員Reinhard Butikofer氏は、すべてのEU首脳が中国に対して人権侵害の問題を提起することを望むと述べた。イタリアやギリシャなど一部の欧州政府は、北京に接近しすぎていると非難した。

「欧州議会と中国の関係において、人権問題が二の次になることは決してなく、忘れられることもない。このことを、私たち全員が認識している」とButikofer議員は述べた。

英国のCharles Tannock議員は「欧州は、中国における法の支配と人権の尊重を促すために、引き続き断固として行動しなければならない」と述べた。

4月初旬、EU中国首脳会談の共同声明で、双方は国連憲章と国際法、国連制度を三本の柱として、平和と安全、発展と人権を支持することに合意した。また、「国連の人権メカニズムを含め、平等と相互の尊重に基づいて、二国間および国際レベルでの人権対話」を約束した。

しかしこの動きの下で、欧州議員たちは、人権問題の追及には不足があったと述べた。中国が人権について確約できる表現を拒んだとしたら、EUは共同宣言の署名を拒否することができたし、代わりにそれ自身の結論を出すべきだったとした。

(文・NICK GUTTERIDGE/翻訳編集・佐渡道世)