「LGBTは生産性がない」の発言で社会論争を巻き起こした杉田水脈衆議院議員(自民党)は16日、高円寺で杉並区議会議員選挙の応援演説に駆け付けた際、集まった人々から罵詈雑言を浴びせられた。騒動に発展し、演説は一時中断した。伝えられるところによると、警察は、突き飛ばすなどの暴力行為をした数人を取り押さえた。
立候補者の松浦威明候補が杉田議員による応援演説を告知して以降、15日から16日にかけて、インターネットでは「#会いにいける杉田水脈」が注目話題に上がった。演説当日の拡散された動画には、議員の発言に抗議する人々が詰め寄ったり、議員の顔写真を加工したプラカードを掲げたりする様子が映っている。
抗議集団には大声で叫ぶなどの行為があり、松浦候補は演説のなかで、「高円寺駅の利用者や住民に対して、騒動に発展したことを謝罪する」と述べた。翌日のSNSでは、演説妨害は公職選挙法で処罰対象との見方を示し、「言論封殺とは闘い続ける」「ヤジを飛ばしていた人々には一切謝罪する気はない。(中略)数で演説を潰す人々と私は闘い続ける」とした。
このたびの騒動は、LGBT当事者からも反感の声が上がっている。自身をLGBTであるとするSNSアカウントは「LGBTが反差別のならず者に利用されている。一当事者として、大変迷惑。LGBTの印象が悪くなる」と書いた。これまで杉田議員の発言に否定的だった人物も、横暴な抗議に「一人の女性に対して、ここまで寄ってたかって罵詈雑言を吐いていいものだろうか。分別はないのか」「議員の発言をずっと批判してきたが、自分はこのような騒ぎを起こす人々と一緒にしてほしくない」と書き連ねた。
一部の動画には、抗議者が杉田議員や松浦候補の支援者を取り囲み、中指を立てたり暴言を吐いたりという攻撃的な行動が映っているのが確認できる。
同性愛に関して寛容な意見を示してきた出世院住職の下村天弘氏はSNSで、抗議者たちの様子を撮影し、「人権と多様性と寛容さを求める人々とは、真逆の人々」と非難した。
杉田議員は2018年、週刊誌やネット番組のなかで、性的少数派に対して税制優遇措置を取ることは正しくないと主張した。この見方は一部の人々から「LGBTに対する差別」として猛烈な批判を浴びている。
松浦候補は、同性愛を容認するが、同性愛による婚姻制度の固有権利が発生することは認めておらず、同性婚制度には反対している。また、「一部LGBT団体、過激ゲイリブ団体の主張には同意しかねるものが多く、またLGBTの総意であるとも認識していない」と書いた。
(編集・佐渡道世)
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