中国資本で台湾で業務を展開している物流民間企業「順豊」エクスプレスは、中国で出版禁止となった書籍の台湾‐香港間の輸送を禁止している、と香港作家の梁文道氏は今年1月13日付・台湾紙「蘋果日報」のコラムで指摘した。台湾「順豊」は、社内マニュアルで「一つの中国」に反する国家分裂、反共産党の出版物や、法輪功書籍、十字架、宗教物品のすべてを発送禁止にしている。
台湾「順豊」は香港「順豊」の子会社となっており、香港の法律に基づいて内部検査を実施していると説明している。
「順豊」は1993年に広東省順徳で上海生まれの香港人・王衛が創業した。現在、中国で最大級の物流エクスプレスの一つまでに成長した。経営範囲は中国国内だけでなく、香港、マカオ、台湾、米国、シンガポール、韓国、マレーシア、日本、タイ、ベトナム、オーストラリアにおいてもサービスを展開している。
台湾「順豊」は「随分前から検査し始めている」と暴露した台湾の呉氏は、3年前に「順豊」を利用して『大紀元時報』を中国へ送ろうしたが、「中国税関に入ると、すでにストップされた」とした。台湾「順豊」が勝手に荷物を開封し、検査を行っていると疑っている。
発送物の検査に対して台湾「順豊」は、「個別の事案」と示し、従業員が標準作業を遵守し、香港の税関法規に違反しないように差出人に注意喚起していると強調している。しかし、香港税関の輸出入貨物分類では出版物や印刷物を調査対象とする規制は設けられていない。
また、香港市民がマカオの友人へ送る手作りの十字架を、宗教物品として取り扱われ、香港「順豊」に発送を断られた。1月16日に香港「順豊」に苦情が寄せられ、2日後に香港「順豊」の社長が辞任した。
「順豊」はその後、公式サイトから輸送禁止とする「法輪功関連の新聞紙、出版物、CDその他の物品」の文言を削除した。
民間企業の発送物検査に対して、台湾の人権弁護士・朱婉琪氏は「これは些細な問題ではない」「個別の事案」ほど簡単なことではないと示している。赤色(共産党の)恐怖が台湾・香港に浸透している証拠であり、「国家の安全保障問題」として見なすべきだと主張した。中国共産党の浸透を防止する法案の整備を台湾政府に呼びかけている。
物流企業も中国共産党に支配されていることについて、朱婉琪氏は「台湾・香港の人々の衣食住のあらゆる面において、共産党に浸透されている」と指摘した。
台湾「順豊」は香港「順豊」の支社だと主張している。これについて香港区議員の譚凱邦氏は「中国企業が台湾に進出するのが難しいので、香港企業なら台湾に出入りしやすい」と台湾「順豊」が中国企業である事実を隠していると危惧している。
香港市民愛国民主運動支援連合会秘書の李卓人氏は、中国共産党の言論審査を民間企業が代行していることを厳しく非難した。
李卓人氏は、法輪功出版物の香港への運送禁止も異常な事態だと言及した。「法輪功は香港で認められている合法的な団体である。法輪功学習者は香港で自由に活動できる。香港にも反共産党の出版物は多くある。「順豊」が香港の法令をもって、反共、法輪功、宗教の出版物を香港に運送禁止にしているのは、香港の法律を歪曲している。中国共産党の魔の手が伸びてきていることを意味する」
(翻訳編集・柳雅彦)
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