「改革は死んだ」中国知識人100人が当局を批判 現状への強い不満あらわに

2019/01/05
更新: 2019/01/05

中国の知識人100人が改革開放40周年についてのコメントを昨年末、インターネットで発表した。「改革開放が一部の人の不正蓄財の手段になった」「言論の自由のない改革開放は偽りの改革だ」などと批判一色のコメントは異例とも言える。

1978年、鄧小平氏の提唱のもと、中国共産党は市場経済を取り入れた「改革開放」を打ち出した。2018年は実施40周年に当たる。

12月29日、『中国公共知識分子100人が改革開放40周年についてコメント』と題する記事がネットを中心に反響を呼んだ。中国当局は直ちに、記事を削除した。

記事は学者、弁護士、大学教授など知識人の改革開放に関するコメントをまとめたものだ。

そのなかで、北京在住の時事評論家・蔡慎坤氏は「改革開放で人々のメシが食えるようになったことよりも、勇気をもって真実を話せるようになることがもっと重要だ。今、人々は(真実を)話すのを恐れている。また、改革によって全国民が経済繁栄の成果を享受しなければならない。改革は一部の人が財産を略奪する手段になってはならない」と権力を利用して蓄財した既得権益層を批判した。

独立学者の洪振快氏は「還権於民(権力を民衆に返すこと)こそが、真の改革だ」と述べた。

山東省に住むジャーナリストの陳宝成氏は、「言論と思想の自由がなければ、改革開放の意味がない」と言論の自由の重要性を説いた。

弁護士の伍雷氏は、「当局は一部の冤罪を見直し、名誉を回復させた。しかし同時に冤罪を『量産』している。司法改革の成果が全く見いだせない」と司法界の不正を批判した。

北京大学の張千帆教授は「中国社会におけるすべての問題の根源は中国には真の選挙がないことである。選挙を実施しなければ、真の改革はないだろう」とした。

北京理工大学の胡星斗教授は「新たな思想解放運動を展開するべきだ」と主張した。

北京外国語大学の展江教授は「新聞出版の自由がなければ、他の自由も泡となるだろう」と話した。

北京在住の学者・趙国君氏は「改革は死んだ。憲政政治を実施すべきだ」と批判した。

清華大學の許章潤教授は「中国の大転換がやってくる。誰もこの動きを阻止できない」と社会の変革が避けられない見方を示した。

中国の知識人が現状に強い不満

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)1月1日付によると、中国ネットメディア「縦覧中国」の陳奎徳氏は、知識人100人のコメントは、中国共産党政権による近年の圧政に対する強い不満を表した、との見解を示した。

インテリ層が公に改革開放を批判したことは、中国の現状に「我慢できなくなった」からだとした。陳氏は、コメントから中国政治、経済、文化の全面的後退をもたらした中国共産党政権に対して、抗争していくインテリ層の姿勢を見て取れる、と分析した。

「学者らがそろって批判を繰り広げていることを軽視してはいけない。2019年の中国の情勢を示しているかもしれない」

中国民主化運動に関する雑誌「北京の春」の陳維健・編集長はこのほど、同誌サイトで評論記事を発表した。陳維健氏は改革開放40周年にあたる2018年に、「低端人口排除、709事件で拘束された人権弁護士への迫害強化、チベットでの文化・宗教迫害、新疆ウイグル自治区での強制収容施設、キリスト教会の十字架撤去、仏教寺院での国旗掲揚、個人崇拝の高まり、国家主席の任期撤廃、香港での『一国二制度』の形骸化、台湾への嫌がらせ」が起き、「中国共産党の時代に逆行したやり方が言語道断だ」と手厳しく批判した。

陳編集長は「中国共産党は中国国民だけではなく、世界の人々まで支配下に置こうとしている」と警告する。

(翻訳編集・張哲)