米金融大手JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカはこのほど、来年中国経済についての見通しを発表した。両社は米中貿易戦が来年まで続くと予測し、この影響で中国国内総生産(GDP)成長率が6.2%で、失業者数が440万人にのぼるとの見通しを示した。
ロイター通信12日付の報道によれば、JPモルガン・チェースは最新報告書で、中国経済は来年一段と減速するとした。中国の景気の回復は米中貿易戦の今後の展開が大きく左右するとの見方を示した。
同社は、11月末に行われた米中首脳会談で、米中双方は90日間の「休戦」で合意したが、交渉は「困難である」と指摘した。JPモルガン・チェースは90日後、米政府が対中関税制裁を再開する可能性が大きいとみている。
中国人民元の対ドル為替相場について、JPモルガン・チェースは元安がさらに進み、来年末1ドル=7.1元までの元安ドル高水準になると予測した。
12月14日現在、中国人民銀行(中央銀行)は、対ドルの人民元基準値を1ドル=6.8750元に設定した。13日の人民元基準値は1ドル=6.8769元だった。
いっぽう、バンク・オブ・アメリカが発表した「2019年経済見通し報告』において、JPモルガン・チェースと同様、米中貿易摩擦は90日では解決できないとの見解を示した。
報告書によると、来年3月1日、米政府が2000億ドル相当の中国製品を対象にした追加関税の税率を現在の10%から25%に引き上げる場合、中国の輸出額が5.6%、GDPが1.04%とそれぞれ押し下げられる。
バンク・オブ・アメリカは、米国に輸入される中国製品のうち、その半分を占める約1271億ドル(約14兆4231億円)相当の製品をアメリカはほかの国からも調達できると指摘した。報告書によると、中国の輸出額が今後は大幅に減少することで、中国国内で440万人が失業する見込みだという。
また、バンク・オブ・アメリカは、中国経済自体について、下振れリスクが著しく高く、雇用環境が厳しい状況にあるとの見解を示した。米中貿易戦の影響を加えると、中国労働力コストがいっそう高騰し、これに伴う製造業の中国市場撤退が増えるとの見通しを示した。
バンク・オブ・アメリカは報告書で、米中双方が通商交渉で合意に達しても、中国側は貿易戦による経済損失を取り戻せないと主張した。
(翻訳編集・張哲)
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