中国政府の留学生支援に焦点を当てるインタビュー映像が最近、公開された。中国SNS微博では、政府が留学生支援に熱心にもかかわらず、中国人学生が古い建物で共同生活していることや、地方の困窮問題には不整備であることなど、体面をつくろう中国共産党政府の政策を批判するコメントが相次いだ。
ある外国人留学生と思われる人物が撮影したインタビュー映像は、6人の留学生と6人の中国人学生を比較して、双方の境遇の違いを示した。中国人大学生の環境は留学生と比べ劣悪といえる。2~6人が狭くて古い部屋で共同生活を送る。トイレや洗面所も共同だ。インターネットも含め電気の使用時間も制限されている。
6月に撮影されたこの動画は「自国民を差別する中国政府のやり方に外国人も驚かされた」というタイトルでSNSに投稿され、話題となった。
また、11月にインタビュー映像「東帝漢女孩(東ティモールの女の子)」で主人公の留学生は、奨学金の余りを家族に仕送りしているという。東南アジアの小さな島国東ティモール出身の女子学生は、中国政府の奨学金を受けて、江蘇省南京の大学で化学を勉強している。
東ティモールは2002年に独立した東南アジアの島国。2017年時点で人口は129万人、1人当たりの国内総生産(GDP)は約2279米ドル(2017年当時)。女子学生は、中国政府から受けた奨学金は学費にあてるほか、故郷の家族の生活も支援していると述べた。
大学入学で父の夢を成し遂げたと女子学生は語る。母国の父親は、貧困のために就学のままならない環境で育ったという。彼女は今、学業に専念するほか、家族に送金していると述べた。また、在学中の南京の大学を卒業したのち、故郷に戻って教師になりたいと述べた。
「家族からの(金銭的な)支援は一切なかった。むしろ私がお金を家に入れてきた」「いまは中国の奨学金が私の収入源になっている」と女子学生は流ちょうな中国語で話した。
中国財政部と教育部の資料によると、四年制大学で学ぶ海外留学生には年間1人当たり5万9200元(75万円)を支援し、博士課程の学生には9万9800元(約150万円)が提供され、生活費、医療保険までカバーしている。中国に2億人いるとされる中間層の年収は約250万円。
さらに、中国政府は海外からの留学生に「国際基準」並みの環境を提供している。留学生は広い個室や24時間利用できる無料WiFi、個別のシャワーとトイレが完備された部屋で寮生活を送っている。
多くの中国のインターネットユーザーは、留学生と中国人学生の大きな待遇の差に不満を並べた。中国では、何百万人もの若者が大学入学の学費を捻出できない。ユーザーたちは、当局が自国民から集めた税金を国内の教育福祉に公平に提供できていないことに「到底納得できない」と書いた。
中国国家統計局によると、2017年末までに年間所得2300元(約3万7000円)未満の地方在住者は300万人超。これらの家族は子どもを小学校に通わせるのも難しいほど困窮している。
2013年5月、中国全国婦女連合会は、子どもを地方に残して都市に移動する出稼ぎ人口は6100万人と発表した。地方に残された子どもたちは農業に従事しており義務教育を受けられない場合がある。
中国教育部によると、2017年には全国31省と935の大学で合計48万9200人の留学生が学んでいる。2年連続で10%以上のペースで増加している。「一帯一路」関係国からの留学生は31万7200人と全体の64.85%を占めた。
また、留学生教育関連の2018年の予算は33億2000万元(約548億4000万円)と、小中学教育の予算合計16億4000万元(約270億9000万円)を超えている。
(編集・佐渡道世)
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