国際社会は、中米諸国からメキシコを経由して、米国を目指す「キャラバン」と呼ばれる移民集団に注目している。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)などの最新報道によると、移民キャラバンのなか、米国への入国を諦め、帰国やメキシコの定住を選ぶ人が増えている。いっぽう、ペンス米副大統領や一部の米メディアは、キャラバンの背後に資金援助を行う左翼団体があると指摘した。
約7000人規模の「キャラバン」は10月中旬に中米から出発して北上していた。米FOXニュースの司会者ローラ・イングラハム(Laura Ingraham)氏は10月17日、ツイッターで、キャラパンに援助する組織が暗躍していると指摘した。「移民キャラバンの旅費は一人あたり7000ドル(約79万3566円)かかる。しかしホンジュラスの1人当たり平均収入は2300ドル(約26万743円)しかない」
FOXニュース電子版10月27日付によると、ペンス副大統領はインタビューで、海外左翼団体がキャラバンに資金を提供しているとの見方を示した。
「キャラバンはホンジュラスの左派団体によって組織された。ベネズエラはその一部を援助している。これはホンジュラス(フアン・オルランド・エルナンデス)大統領から聞いた話だ。大統領が直接私にそう言った。(キャラバンが)北上する理由は一つしかない。不法入国して米の法制度を挑発することだ」
副大統領は、不法移民集団の取り締まりを、ナチスファシズムから逃れた難民の受け入れ拒否と同等視するメディアの論調を非難した。
左派団体の目的は「国境をなくす」
今年3月、第1回目の移民集団約1800人が米国を目指していた。10月に発生した2回目の移民集団と同様に、極左団体「Pueblo Sin Fronteras(国境なき人々)」が直接関与している。
3月23日、「国境なき人々」は公式フェイスブックアカウントで声明を発表し、移民キャラバンは「国境の廃止」を目指しているとした。
国境をなくすことは、国家の解体を意味する。マルクス主義は、「社会主義社会の後に誕生した共産主義社会では、能力に応じて働き、必要に応じて受け取るという生産モデルを通じて、無階級、無国境、無通貨、無私有財産の社会を実現していく」と唱えている。左翼団体の狙いは、共産主義を資本主義の米国に浸透させることだ。
米ニュースサイトWND(World Net Daily)(19日付)によると、「国境なき人々」は、「CARAファミリー拘留プロボノ・プロジェクト」からの支援を受けた。同プロジェクトは、「カトリック法律移民ネットワーク」「アメリカ移民評議会」「難民および移民のための教育・法律サービスセンター」「アメリカ移民弁護士協会」から資金を提供されている。
WNDは、米投資家ジョージ・ソロス氏が率いるオープン・ソサエティ財団(OSF)は、この4つの団体のうち、少なくとも3つの団体に対して援助を行っていると伝えた。マッカーサー基金、フォード財団、カーネギー国際平和基金も資金面でサポートしているという。
「国境なき人々」は、「国家労働者ネットワーク(National Day Laborer Network)」の下部組織になる。
「国家労働者ネットワーク」はまた、「正義・平和のために一致団結し、恐怖に抵抗して自由の道を目指すキャラバン社会主義組織(United for Justice and Peace, Caravan Against Fear and Freedom Road Socialist Organization)」に属している。これらの左翼団体は企業や財団と複雑な関係を持っているという。
ソロス氏は今年4月初め、オレゴン州の州知事選挙で、2期目を目指す現職のケイト・ブラウン氏(民主党)に対して政治献金を行った。ブラウン氏は4月5日、ツイッターで、トランプ政権のメキシコ国境警備計画に参加せず、オレゴン州から警備隊を派遣しないと明言した。バイセクシュアルと公言したブラウン氏は米国初のカミングアウトしたLGBTQ知事でもある。
ソロス氏は2016年9月20日、移民と難民の雇用機会を創出する計画に5億ドル(約567億円)を投じると表明した。米フォーブス誌の同年9月21日の報道によると、ソロス氏は他の民間資本に対して移民支援に参加するよう呼び掛けた。
(翻訳編集・張哲)