中国、大学生をキャンパス内で拘束 労働運動弾圧の拡大

2018/11/13
更新: 2018/11/13

北京など少なくとも3都市で11月9日から、労働運動の支援者12人が行方不明になっている。なかには大学生も複数含まれている。米VOAが報じた。

北京大学の学生・于天夫さんは11月11日、同キャンパス内で「同級生が連れ去られた」とネットで発信した。中国ネット管理当局は書き込みを13日までに削除した。誘拐された学生は、深センの工場による労働者の権利問題で支援運動に関わっていた。

于さんの投稿によれば9日夜、キャンパス内にいた同級生が数人、突然現れた黒い車の黒ずくめの服の男たちに殴打され、車で連れ去られたまま行方不明になったという。

この情報はすぐさま拡散されたが、ネット管理当局は関連情報をすべてを削除した。しかし、ネットユーザーは于天夫さんによる誘拐情報が当局に消されないように、検閲システムが確認できないスクリーンショット画像へと置き換えて、情報拡散を続けている。

同級生がキャンパス内で誘拐されたと訴える北京大学生の于天夫さん

北京大学の安全警備部は11日夜、短い声明を発表した。それによると「公安が9日に大学関係者ではない犯罪容疑者を捕まえた」という。

中国の大学にはたいてい24時間の警備システムがあり、大学の許可がなければ学校関係者ではない車両はキャンパス内に入ることができない。

北京大学のほか、上海、深センの各都市でも9日夜、公安当局が学生や労働者の寮から、大学生5人と広東省の労働者3人に加えて、深センの労働者団体の職員数人を連れ去った。いずれも今年労働争議が発生した深センの佳士科技公司(JASIC)の運動に関わっていた。

2018年6月と7月、深セン拠点の佳士科技公司の労働者は労働組合の設立と待遇改善を求め、北京大学、人民大学の学生や社会知識層など全国数百人の支援を受けて労働権利運動を展開した。しかし、公安により強制鎮圧された。8月、当局は50人近くの労働者を連行した。運動に関わった学生も10数人が行方不明になっている。

(翻訳編集・佐渡道世)