中国当局がスイス大手UBS銀行の行員の出国を阻止したとの情報を受けて、世界大手銀行のシティ・グループやスタンダード・チャータード銀行などは22日までに社員に訪中の延期や再考を通知した。
ロイター通信によると、シンガポールからのUBS銀行の女性行員は10月中旬、中国当局から、地方当局高官と面会するために出国計画を遅らせるよう要求されたという。彼女は、富裕層資産管理部門の顧客担当マネージャーを勤めていた。この女性行員は拘束はされていないという。
米フィナンシャル・タイムスによると、UBS銀行は3830億ドル(約43兆円)相当のアジア最大の富裕層資産の管理を担う。
BNPパリバとJPモルガンもまた、訪中自粛との通知を社員に出した。世界で3900億ドル相当の資産を管理するスイス民間ジュリアス・ベア銀行も、社員に対して訪中には慎重と再考を求めたという。情報筋がロイターに語った。
23日、フィナンシャル・タイムスはUBS銀行の声明として「全社員が中国への出国や入国を自由にでき、通常業務を行えることを確認した」と報じた。
中国当局による世界大手銀行社員の出国阻止と、これに伴う他行の訪中警告は、中国でのビジネスを展開するうえで伴うリスクを露呈した。
(編集・佐渡道世)
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