中国人権問題「対岸の火事にしない」地方議員、外務副大臣に対応申し入れ

2018/08/31
更新: 2018/08/31

中国の人権弾圧問題について強く関心を抱いてきた日本の地方議員が8月30日、佐藤正久・外務副大臣を表敬訪問し、日本政府が同問題へ取り組むよう申し入れをした。

このたび外務省で佐藤副大臣と面会した上畠寛弘・神戸市議会議員(前・鎌倉市議会議員)は2016年6月、日本の地方議会では初めてとなる、中国政府に対する人道犯罪について強く批判し改善を促す意見書の可決をけん引したことで知られる。

上畠議員は、中国政府による弾圧の対象となるチベット、ウイグル、法輪功などの関係者から状況を聞き取ったところ、「中国の人権状況は2年前の意見書提出時から、改善するどころか悪化している」ことを知ったという。早急な対応を促すため、このたび外務省に足を運び、意見書を再び提出した。

同議員によると、佐藤副大臣は中国人権問題を十分認知しており、意見書に書かれた状況を否定しなかったという。 

国際人権監視NGOフリーダムハウス(米国拠点)が1月に発表した、世界の国々の民主主義や自由度を格付した報告書「世界自由度2018」のなかで、中国は100点中14点の最低ランクに位置付けた。

米国務省の2017年度世界人権報告書では、中国をロシア、イラン、北朝鮮にならび「道徳の欠如がある」と名指しで批判し、人権侵害は日常的にあり、人権状況は不安定だと指摘した。

数十年にわたるチベットの民族浄化政策、1999年に始まった法輪功学習者に対する弾圧、2001年ウイグル民族に対する「テロ対策」の名のもとの抑圧政策について、外務省が公の場で中国政府を批判し、改善を促したとの記録はない。

2018年7月外務大臣定例会見では、米国ペンス副大統領が言及したウイグル族の不当収容に関して、河野外相は「ウイグル民族は中国国内問題との認識」と前置きし、「人権や自由といった基本的価値観は尊重されるべき、というのが日本政府の立場」と述べるにとどまった。

「中国問題、議会で積極的に発言を」

上畠議員は大紀元の取材に対し、「中国の人権問題を外務省はより強く認識してほしい、地方からも声が上がっている。中央もしっかり取り組んでほしい」と強調した。

中国の人権弾圧について「全国各地の同志議員と連携し、対岸の火事として中国問題を放置せず、日本のために行動するべきだ」とし、問題に対する関心を高めるために「陳情書、要望書、議会での発言などが積極的に行われることが重要だ」と述べた。

2人の鎌倉市議会議員とともに訪省した上畠議員は、中国政府の人権改善を促す意見書のほか、日本の防衛産業の振興に関する要望書と、中国政府の圧力により取り消しとなった台湾台中開催予定のアジアユース大会についての意見書を外務省に提出した。

上畠氏は2013年、鎌倉市議会議員に全国最年少25歳で初当選。まもなくして、同市役所で40年以上に渡り共産党市議らが機関紙「赤旗」を職員に販売していた問題を提起し、同支庁舎での配布禁止を決めた。さらに、市役所内で市職員労働組合が不法占拠していることを市長に問いただし、撤退させた。2017年10月から神戸市議会議員。

(編集・佐渡道世)