2011年末頃から消息不明となっていた国民的歌手・湯燦氏(43)が約7年ぶりに公の場に現れた。同氏は、中国最高指導部の権力闘争・性的接待に関与し、当局にスパイ容疑などで拘束されていたとみられる。
6日、海外中国語メディア「明鏡網」の主宰者である何頻氏は、ツィッターで「今日、湯燦氏が自宅に戻ったとの情報があった」と書き込み、湯氏と1人の男性とが一緒に映っている写真も投稿した。写真で、紅いワンピースを着ている湯氏はやややつれた顔をしている。
香港紙・蘋果日報によると、写真に写っている男性は湯氏のかつての先生だという。
7日、SNS上に同じ紅いワンピースを着た湯氏と他の女性との集合写真も投稿された。
中国国内のネットユーザーは、湯氏の過去の写真から、同氏の右足に「野ばら」のタトゥーが施されていることを指摘した。これに基づいて、6日と7日にネット上に掲載された写真の中の人物が湯氏本人だとした。
また、ツイッターアカウント「董婉芳」の7日の書き込みによると、湯氏は釈放された後、当局は湯氏に対して「出身地の湖南省株洲市に留めさせ、北京に住居することと、メディアから取材を受けることを禁止した」。「彼女は、中国共産党と軍の機密情報を持っているからだ」という。
中国国内メディアによると16年、湯氏は減刑を受けて釈放された。また、当時、香港メディアによると、解放された湯氏は一時海外への移民を考えたが、当局は機密漏えいを防ぐために湯氏の出国を厳しく禁止した。
湯燦氏は10年に、中国軍の北京軍区政治部戦友文工団に入隊し、軍所属の歌手となった。階級は大校だった。「新民謡のリーダー」「民謡界のファッション女王」ともてはやされていた。
11年末から、同氏は公衆の面前から姿を消した。複数の海外華字メディアは、湯氏は指導部高官らの汚職・腐敗や性的スキャンダルに関わり、党の中央規律検査委員会(中規委)に拘束されたと報じた。これらの報道によると、湯氏と男女関係を持った高級幹部の人数は少なくとも30人いた。「公共情婦」と呼ばれた。なかには、周永康・元中央政治局常務委員、薄熙来・元重慶市党委員会書記、徐才厚・元党中央軍事委員会副主席、李東生・元公安部副部長などの大物高官がいる。
湯氏は、周永康と薄熙来らの江沢民派が、習近平陣営に対して策定したクーデターに参与し、その核心的人物でもあるとみられる。同氏は、愛人関係にあった軍・政界の要人から、周永康らのために情報収集を行った。
中国国内のSNSに掲載された記事は、湯燦氏は、政府最高機関の所在地「中南海」に出入りする高官らとの「親密な関係」を利用して、国家軍事・経済情報を盗み出し、利益を得ていたとした。また、湯氏は、中南海内部にある最高指導者らの住所と執務室の所在地を作図していたという。当局は湯氏を身柄拘束した後、「政治経済および軍事的機密情報」に関わるとして、湯氏に対する裁判を公開しない方針を示したという。
しかし、中国政府系メディアからの正式発表はなく、真偽は定かではない。
(翻訳編集・張哲)
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