日本でも有名な中国典故に「孟母三遷の教え」がある。聖哲・孟子の母は、息子の教育環境を最良のものとするために、引っ越しを続けたという話だ。母親が変えた環境のひとつは、牛や豚を解体する屠殺場の近隣宅。息子は動物を殺す真似をして遊ぶようになったのを見て、母親は「相応しくない」と次なる住まいを探したという。
こうした先人の知恵を示す典故と相反する教育が、現在の共産党政権下の中国の子どもたちに施されている。
中国の湖北省巴東県のある幼稚園は1月19日、「基礎教育」の一環として、園児約600人に向けて豚の解体作業や一部の器官の紹介を行った。この教育が子供の成長に悪影響を及ぼすとして、市民から批判が殺到している。
ネットに投稿された関連映像から、白衣を着た幼稚園の園長らは、ベンチの上に載せられている豚を解体し、首を切り落とし、取り出した腸などを手に持ちながら説明したりしているのがわかる。
中国メディア新京報の取材に応えた園長の話によると、同イベント開催については事前に保護者らに通知しており、児童の見学用に毛抜きなどの下処理を済ませた豚を用意したという。また、園内で飼育された見学用の豚を含む3匹の豚は、屠殺され、園児の給食にもなっていると述べた。
中国のネット上でも批判が多い。「豚殺しが農村の正月伝統か、でも幼い子供の目に焼き付ける必要がどこにあるか」「子供のときに一度みたが、15歳までのトラウマ」「解体より命の重さを教えるように」「血祭りの教育?殺すことに動じない冷血さをちびっ子の身につけるつもりか」などのコメントが多数寄せられている。
園長は同紙に対して「豚を殺して食べるのは、私たち湖南省恩施土家族苗族の風習だ。私は30年以上教育に携わっている。子供たちには豚の生理的構造を知り、この社会に入ってほしい」と述べた。
一部のネットユーザは批判旋風に反論している。「これは『血なまぐさい』ということではなく、受け手の文明的思考は発展したということではないか」「一メディアの視点があり、現地民族の風習がある、口出しすることではない」「報道は偽善だ。農村部では豚や鶏を(自分たちで)殺して食べている」と書き込んだ。
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(翻訳編集・王君宜)
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