安倍総理肝いりの成長戦略「働き方改革」、その重要テーマの一つ長時間労働の短縮について、東洋経済新報社が、全上場企業に対して改革の進捗状況について調査した。過去1年間で56%の企業で残業時間が減少したことがわかった。
調査対象は全上場企業 3682 社、有効回答企業は1138社(回答率31%)。長時間労働の抑制がどの程度進んでいるかを調べたところ、2017年4~9月の正社員一人当たりの月平均残業時間は18時間54分で、前年同期と比べて24分減少している。残業が減少したのは635社で、DMG森精機(6141)の960分(16時間)減、安藤ハザマ(1719)の620分(10時間20分)減など、業種を問わず大幅に減った企業が目立つ。
一方、残業時間が増加した企業は約4割にあたる451社だった。こうした企業は良好な業況に伴い増加する仕事量を社員の残業で対応しているケースが多いとみられる。
残業抑制のための取り組みで回答が多かったのは「ノー残業デー導入」(73%)、「育児時短など就業形態の柔軟化」(68%)、「フレックスタイム導入」(47%)。また、残業抑制の一環として、業務の効率化を進めている企業も5割強に達していた。
業務効率化の具体的な取り組みとしては、IT化やペーパレス化を進めている企業が目立つ。また、業務プロセスの見直しや会議に時間制限を設けたり回数を減らしたりするなど、仕事の進め方を抜本的に見直しているケースもあった。
そのほか最新技術を取り入れた事例として、RPA(Robotic Process Automation)と呼ばれるロボットによる業務自動化を導入、または導入を検討している企業も多く見られる。これは機械学習や人工知能などを活用した事務処理といった、手作業を自動化させる。
「こうした業務効率の改善を進めている企業は残業を抑制するだけでなく、生産性や収益性の向上にもつながるはず」と同社は分析を示した。
(文・大道修)
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