毎年6月7日と8日は、大学入学を目指すすべての中国人受験生にとってまさに決戦の時。全国大学統一入試(通称「高考」)が行われ、あらゆる大学のあらゆる学科の合否が、この試験の結果一つで判定されるからだ。だが、毎年この時期、受験生やその親を悩ませるもう一つの問題が発生する。「ニセ大学」問題だ。
6月12日、中国メディアが「上大学网(大学入学ネット)」に掲載された中国偽大学リストを転載し、こうした大学に入学しないようにと受験生や保護者に注意を促した。リストに掲載されている「大学機関」は381校に上り、うち約4割に相当する151校が北京に集中している。
ニセ大学は「ディプロマ・ミル(diploma mill)」とも呼ばれ、大学として正式に認可されていない教育機関を指す。ディプロマ・ミルには、知名度の高い大学と似通った名前が付けられているが、こうした機関を卒業しても、正式な大学ではないため、授与される卒業証書には何の価値もない。志望者はこうした事実を知っていながら入学申請を出す場合もあれば、知らずに手続きするケースもあるとみられている。
ディプロマ・ミルにはいくつかの特徴がある。独自の大学公式ホームページを作成していること、正規の高等教育機関と混同しやすい、紛らわしい名前が付けられていること、私立大学としての資格を備えていない、学生を募集する資格を備えていない、学生募集の公告を関係機関に届け出ていない、関係機関による年次調査や評価を受けていないことなどが挙げられる。
「上大学网」でニセ大学リストの公開
こうした状況を受け、2013年から民間教育サービス「上大学网」が開始したのが中国全土ニセ大学リストの公表で、今回で6回目になる。
「中国師範大学」、「中国経済貿易大学」、「首都経済管理学院」はいずれもディプロマ・ミルだが、このようにニセ大学の名前には、よく「中国」、「首都」、「華北」といった言葉が使われている。
またディプロマ・ミルの中には、他校の正式名称や略称を騙る、正規大学の公式ホームページを偽装するといった極めて悪質なものも存在する。「北京金融学院」、「北京興華大学」などが該当する。
「北京建築工程学院」や「上海財経学院」のように、合併や名称変更を経た正規大学の、旧名称を付けているものもある。
また、「北京財経貿易学院」のように、何度もこのリストに掲載されたため、ドメイン名を変更して存続している学校もある。
「上大学网」の責任者は、このリストは教育部が過去3年の間に公表した、正式教育機関と非正式教育機関のリストに基づき、独自に調査を重ねて作成したと語っている。
ニセ大学の名前が年々明るみに出るようになったが、ニセ大学の数自体もまるで雑草が増えるように蔓延る(はびこる)ようになった。一部のディプロマ・ミルは産業チェーンを形成しており、そこではニセのウェブサイトの作成や維持管理、ニセの卒業証書の作成が行われている。また、「得点の低い受験生でも合格とする」「内部基準」といった甘い言葉をエサに、マルチ商法まがいのやり方で詐欺が行われているのが実情だ。
雇用主の多くは、学生の卒業した大学の情報を確認することはないため、ニセ大学に一定の市場を与える結果となっている。
(翻訳編集・島津彰浩)
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