仮想通貨ビットコインの相場は2009年に誕生して以来、急騰と急落を繰り返し、8年間で約300万倍に急騰した。背景には、ビットコイン取引量の約9割以上を占める中国国民による元安懸念が根強いことにある。資産価値の目減りを避ける方法の一つとして、中国国民がビットコインを大量に購入しているとみられる。しかし、海外専門家はビットコインのバブルに懸念を示す。
中国国内メディア「毎日経済新聞」(5月30日付)によると、09年ビットコインが誕生した当初、1ドルでは約1300枚のビットコインを購入することができた。11年4月までに、1ビットコインの相場は1ドル以下だった。しかし、同年6月に1ビットコイン=30ドルを付けた後1週間で急落した。
12年に1ビットコイン=2ドル以下に下落したが、その後急騰と急落を繰り返した。
13年4月9日に、1ビットコイン=260ドルと史上最高値を付けた。一週間後にまた急落して1ビットコイン=68ドルとなった。しかし、同年12月4日、1ビットコイン=1147ドルと再び史上最高値を付け、はじめて国際金価格を超えた。
14年、15年と16年も同様に激しい騰落を展開。
今年5月25日、1ビットコイン=2700ドル台に急上昇した。年初から3倍急騰した。一方同日、米ニューヨーク商品取引所の金先物8月限終値は1オンス=1259.80ドルだった。ビットコインの相場は金価格の2倍となった。
「毎日経済新聞」はビットコイン相場は過去8年間で300万倍暴騰したとした。また統計をみると、過去1年間で267%、過去2年間で740%、過去4年間で113.3倍急騰した。中国の取引量は一時世界全体の80~95%を占めるという。
16年ビットコイン相場が125%上昇したのに対して、人民元の対ドル為替レートは約6.6%した。
中国景気鈍化、北朝鮮情勢で元安が進む
中国当局が5月に発表した生産者物価指数(PPI)などの主要経済指標は弱い内容だったことから、中国景気鈍化の懸念が広がったとともに、北朝鮮の核・ミサイル脅威による地政学リスクの高まりで、今後元安が一段と進むとみられる。
また、米著名投資家のジェフリー・ガンドラック(Jeffrey Gundlach)氏はこのほど、自身のツイッターで、「過去2カ月でビットコインは100%上昇した。世界株式市場株価が上昇している中に、(中国主要株価指数)上海総合は同期10%下落した。おそらく偶然ではない」と投稿した。中国当局が最近金融セクターへの監督管理を強化しているため、個人投資家が株取引からビットコイン取引に移り変わった可能性を示した。
米投資情報会社のフォレックス・アナリティクス(Forex Analytix)は来年、ビットコイン相場は3350ドルに上昇するとの見通しを示している。さらに、1ビットコイン=6000ドル台に急騰すると予測する市場関係者もいる。
オーストラリア経済学者ジョン・クイギン氏は、ビットコインは「経済バブルの最も典型的な例」だと指摘し、ビットコインのバブルが崩壊すれば、被害者はビットコインを持つ投資家ではなく、世界すべての金融市場に打撃を与えるだろうと示した。
(翻訳編集・張哲)