THAAD配備、報復措置で「韓中は共倒れ」=韓国世論

2017/03/07
更新: 2017/03/07

中国は韓国ロッテグループ(ロッテ)や韓国製品に対して不買運動を行っている。韓国世論はこのほど、対外貿易は韓国の原材料への需要が高いため、当局の報復措置によって中国経済にもダメージを与えると指摘した。

ロッテは2月末韓国政府に、高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD、サード)の配備地を提供することを決めた。サードの配備で、米軍と韓国軍は中国の軍事情報を簡単に手に入れることができると主張する中国当局は強く反発し、国営メディアを通して、ロッテ傘下のロッテマートや韓国製品の不買運動を大いに煽った。また、当局の報復措置によって、国内の韓国への旅行ツアーも相次いでキャンセルされた。

これに対して、多くの韓国メディアは、韓国の原材料や携帯電話の部品を必要とする中国企業が多く、中国当局の行動は中国経済にも影響を与えたと指摘。

中国輸出額の4分の1は加工貿易だ。中国企業は、外国の原材料や付属品や電子部品を輸入して、生産や加工や組み立てを経てから、完成品として別の国に輸出する。韓国からの原材料などが品質が良く、価額も比較的に安いため、中国企業は韓国の原材料などへの需要が非常に高い。

中間財、原材料 韓国輸入に頼ってきた中国

韓国メディアによると、昨年、中国の輸入市場に占める韓国製品の割合は1割で、米国や日本の割合を上回った。加工貿易に必要な中間財(半製品や部品)では、中国が輸入したものの中で45%が韓国産だという。加工後の中国製品の多くは米国に輸出されるため、携帯電話などの製造に使う電子部品の65%やアパレル加工用繊維などの原材料の60%は韓国から輸入しなければならないという。

また、昨年の韓国企業による対中投資額は44億ドル(約5016億円)に達し、中国企業の対韓投資額の倍となった。昨年、中国を訪れる外国人観光者のうち、韓国人が最も多く全体の12%を占めるという。

中国当局の報復措置に対して、嫌悪感を覚える韓国国民は少なくないという。中国国家旅行局が3月4日、「韓国旅行禁止令」を通達した後、韓国国民に人気の高い中国製家電の店舗や「青島」ビールの販売店は閑散していた。「中国製品が安くても、もう買わないよ」「もう旅行で中国に行かない。自分たちで韓国の観光業を活性化していく」と話す市民がいた。

昨年、中国は、韓国にとって最大の輸入国となった。韓国が輸入した中国製品の規模は870億ドル(約9兆9180億円)だった。中では、中国製家電は価格の安さで、韓国家電の市場シェアは55%に達した。「青島」ビールの売り上げも、韓国が輸入した外国産ビールの中でトップとなった。

韓国世論は、中国当局による韓国企業への制裁は、韓国経済にはもちろんだが、中国経済にも打撃を与え、両国がともに損をするし、共倒れするだろうと指摘した。

韓国聯合ニュースによると、周亨煥(チュ・ヒョンファン)産業通商資源部長官は3日、中国商務部に対して、現地韓国企業に誠意のある関心と保護を提供するよう求めた。周長官は世界貿易機関(WTO)や韓中自由貿易協定(FTA)などに違反する中国の制裁について、国際法の手続きに従って対応すると表明した。

韓国メディアによると、7日まで中国で営業するロッテマートの23の店舗は、「消防法違反」として中国当局から営業停止処分をされた。

(翻訳編集・張哲)