6月22日に発表された中国の臓器移植問題に関する新報告書『中国臓器狩り/大屠殺(仮題):最新情報』(Bloody Harvest/The Slaughter:An Update)の発表を受け、大紀元は3人の著書に独占インタビューを行った。
同レポートは、人権活動でカナダ憲章を授賞した弁護士デービッド・マタス氏、元米政府系シンクタンク所属のジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏。そして30年以上の経験あるベテラン政治家で、カナダ政府前国務省アジア太平洋担当大臣デービッド・キルガー氏が、独立調査を行った内容をまとめたもの。
最初のレポートは世界に波紋を広げた。米下院議会は今年6月、中国当局が国家ぐるみで行っている法輪功学習者に対する強制的な臓器摘出を非難する「343号決議案」が満場一致で通過させた。欧州議会は2013年12月にも、同様の決議を可決している。イタリア、イスラエル、台湾でも、中国へ渡航し出所不明の臓器を利用した移植手術を行うことを禁ずる決議が可決している。
この人権問題を明らかにしたことで、デービッド・マタス氏とデービッド・キルガー氏、また関連の人権団体「臓器の強制摘出に反対する医師会(DAFOH)」はノーベル賞候補となった。
今回は、デービッド・キルガー氏に話を聞いた。独占インタビュー・シリーズの最後にあたる。
移植手術件数は年間数十万件か
大紀元:今回の報告書で一番大切な調査結果は何でしょうか?
キルガー氏:中国共産党は全国での移植件数はおよそ1万件と論じていますが、今回の最新情報では、疑問の余地なく産業規模で行われており、これまで考えられていた数字の数倍にあたる、年間数十万件もの臓器移植が行われていることを報告しています。この事実が最新情報で実に意義深いことだと思います。
大紀元:なぜ重要なのですか?
キルガー:米下院が決議案343号を通過したとき、ワシントンの中国大使館は「根も葉もない譴責」であると反応しました。中国政府は、2015年までに処刑された囚人から臓器を摘出することは停止すると発表しています。臓器移植における重要人物、黄潔夫・中国衛生部元副部長は、法輪功学習者を、一人も「ドナー」であると認めていません。常に死刑囚を臓器源としてきました。
過去5〜7年にわたり、黄氏は、「良心の囚人」から臓器を強制的に摘出していることを認めたことはありません。しかし、対象のほとんどは法輪功学習者であり、イーサン・ガットマンが指摘するように、少数のチベット人、ウイグル人、中国家庭教会の信徒も含まれています。
今回の最新情報では圧倒的な量の証拠が揃いました。臓器狩りは産業規模で行われており、中国側の言い分は口先だけで、移植件数は全く減っていません。偏見のない方なら、数が増え続けていることを受け入れられることと思います。
大紀元:何を根拠に、臓器のほとんどが法輪功学習者のものであると言えるのですか。
キルガー:あらゆる関連要因があります。まず、中国全域にある350の強制労働所から逃れてきた人々にインタビューしたところ、法輪功学習者だけが医師の身体検査を定期的に受けていたことが示されました。話を聞けば、ただの健康診断ではないことがわかりました。中国当局に、囚人の健康に関心ないはずです。臓器移植のための検査なのです。法輪功の学習者だけが、これらの病院で検査を受けています。
無実の市民を、当局の都合で強制的に拘留する、ヒトラーやスターリンが採用した制度に習ったようです。明らかに、法輪功が主な臓器源です。
大紀元:カナダ政府の国務省アジア太平洋担当大臣でしたね。そのような地位の方が、この問題をどう対処されるのでしょうか?カナダの国務省ならば、どのようにされたでしょうか?
キルガー:私が国務省大臣だったのは2002年から2003年にかけでのことです。デービッド・マタスも私も2006年になるまで、調査しませんでした。その時点まで法輪功学習者に何が起こっているかを、情けないことに、認識していませんでした。
法輪功の学習者が会いにきて、彼らの話は不穏に感じましたが、恥ずかしいことに、積極的・精力的に自分の懸念を中国やカナダ高官に伝えることはしませんでした。
しかし、その後デービッド・マタスと私は、2006年以来、調査報告を出し、改訂版を出し、著書を発行し、証拠を調べてきました。なにが起こっているかを示してきました。
今回の最新報告では産業規模で臓器移植が行われていることを示しています。法規に準じる国々の医療関係者であれば、この現実に起こっていることを疑う人はいないでしょう。 国際移植学会が今回の報告を深刻なものとして受け止めることを希望します。
大紀元:国際移植学会やその他の頂点にある専門機関はなにをすべきだと思われますか?
「黄潔夫のような人間は発言すべきではない」
キルガー:臓器移植が倫理に基づいてなされているかをチェックすることが国務省デスクの職務です。インタンブール宣言やその他の国際協定に基づく臓器移植が、中国で行われていないことを認識すべきです。
今年の終わりに行われる予定の国際移植学科による大規模な国際移植会議は、香港で行われます。香港は中国の一部です。皮肉なことに、香港には臓器移植が倫理に基づいて行われるように制度が設けられています。
黄潔夫のような人間は発言すべきではありません。黄は、何年にもわたりこの問題で真実ではないことを話してきました。一人の中国の移植専門医が、現状に立ち向かうことは難しいでしょうが、少なくとも、すべての国の移植専門医が確実な立場をとるべきです。しかし、香港で行われるので、今年の会議で進展をみることは誠に遺憾ながら期待できません。
今回の新調査報告は、この分野で、中国でなにが起こっているかを伝えるもので、多くの人々を動揺させると思います。 中国は、良心の受刑者が臓器のために殺害され、中国人と臓器ツアーの参加者に販売されている世界で唯一の国です。
(翻訳編集・阿部慶子)
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