中国広東省深センの許勤市長はこのほど、今後同市から約1万5000社の企業が撤退するとの見通しを示した。同市の急騰する地価と住宅価格が主因とみられている。
深セン市は中国製造業の重鎮地であると同時に、近年情報通信などハイテク産業の企業も集中している。国内では通信機器メーカー大手の華為技術有限公司と中興通訊(ZTE)の2社が、地価上昇の影響による経営コストの急増を理由に、深センから撤退するとの噂が流れていた。
国内報道によると、5月29日広州市で開催されたフォーラムに出席した許市長は2社の撤退を否定したものの、今後1万5000社の企業が同市から撤退すると発言した。
撤退理由について、地価と住宅価格の急騰とみられている。特に住宅価格は2005年の1平方メートル当たり5000元(約8万5000円)から、16年4月の1平方メートルあたりの50000元(約85万円)と、10年間で10倍あがった。
この影響で、中小企業従業員は賃金の引き上げを要求し、企業側にとって人件費コストの急増につながった。また、オフィスの家賃支出も急増した。
国内著名投資家で金融投資サイト「喜投網」の黄生会長は31日、同サイトの評論コラムで「1社の企業に100人の従業員がいるとしたら、1.5万社の撤退で約100万人以上の人口が同地区から離れるとの計算だ」とし、産業空洞化のほか、地域経済も打撃を受けるとの見解を示した。
また、黄会長によると華為と中興の2社は本社などの行政部門を深センに置いたままだが、実際に製造部門と研究開発部門を他の地域に移転したという。撤退する1.5万社の中小企業のほとんどは2社に部品を提供する企業とのことだ。
(翻訳編集・張哲)
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