米ビジネス専門ニュースサイト「ビジネスインサイダー」(Business Insider)は、中国の胡錦濤前国家主席が在任中、国内雇用問題の圧力で夜眠れなかったという話を引用した。中国では景気が低迷する中、今年1月~3月までの失業率の上昇により、雇用情勢が一段と厳しくなっている。
同サイトが4月27日に発表した中国雇用問題に関する評論記事で、ジョージ・W・ブッシュ前米大統領の自叙伝『決断のとき』(2010年発行)に記載された、在任中のブッシュ氏と胡氏のある会見での会話を引用し、中国の雇用情勢の厳しさを指摘した。
ブッシュ氏は胡氏に対して「夜眠れなくなるのはどんな時か」と質問したところ、胡氏は「毎年2500万人の雇用機会を創出しなければならないという圧力で夜眠れなくなる」と率直に答えた。ブッシュ氏は在任中に会ったすべての国家指導者に、同様の質問をしていたという。一方、ブッシュ氏は「テロリストによる米国への攻撃を考えると眠れなくなる」と胡氏に答えたという。
中国経済の回復の兆候が見えない現在、雇用市場も悪化し続けている。4月中旬、中国人民大学就職研究所が発表した、今年1~3月期『中国雇用市場景気指数(CIER)報告書』によると、同期の雇用市場景気指数は昨年10~12月期の2.09ポイントから1.71ポイントに下落した。また、昨年1~3月期の2.44ポイントと比べても、大幅に下落した。
同報告書によると、昨年同期と比べて、国内加工製造業、エネルギー産業など半数以上の業界の労働需要がマイナス成長となっている。そして、これらの業界の共通点は、過剰生産により市場需要が低迷しているところだと指摘した。
国家統計局の統計によると、31都市で今年1~2月までの失業率は5.1%だった。また、3月の失業率は5.2%に上昇した。
今年3月に開催された両会(全人代と政協会)では、李克強首相が都市部で1000万人の新規雇用機会を創出し、失業率を4.5%以内に抑える目標を挙げた。
「ビジネスインサイダー」は、毎年2500万人の雇用機会創出が困難であった胡錦濤政権と比べて、景気が一段と低迷している現政権では、毎年1000万人の雇用機会創出はなお一層難しいと指摘した。
(翻訳編集・張哲)