国際通貨基金(IMF)は中国政府の企業債務株式化計画が、経営が破綻しているにもかかわらず政府や銀行の支援を受けて存続している企業、いわゆる「ゾンビ企業」問題を悪化させる恐れがあると警告した。米VOAが伝えた。
IMFが4月26日発表したIMF中国調査団長のジェームズ・ダニエル氏、ホセ・ガリード氏、マリナ・モレッティ氏による共同論文では、中国政府が企業債務削減を目的に計画している不良債権の株式化(銀行が企業の債務を企業の株式と交換すること)と、不良債権証券化(銀行の貸出を証券化して金融商品として販売すること)は効果的かについて疑問視している。
同論文では「このような技術的な計画は一定の効果があると認められ、一部の国では成功した事例もあった」、「しかし、これはすべての解決策にならない。計画の策定が非常に慎重でなければならない。でなければ問題をさらに悪化させ、ゾンビ企業の存続を許すことになる恐れがある」と警告した。
また、同論文では企業債務株式化に適応する企業は、存続条件に合って企業改革計画のある企業に限るべきだとの見解を示した。
IMFは、中国の銀行は企業経営と企業再建などの専門知識が乏しいため、債務の株式化は銀行と企業間の利益関係にマイナス的な影響をもたらし、企業の株主となった銀行が絶えず企業側に資金を融資しなければならないとの窮地に迫られると指摘した。
IMFが4月上旬に発表した調査報告書によると、現在中国の商業銀行の企業向け貸出のうちの15.5%、1兆3000億ドル(約140兆円)に相当、が不良債権で、国内総生産(GDP)の12%を占める。
また、英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、3月末までの中国債務残高が162兆元(約2786兆円)で、対GDP比で237%までに上昇した。フィナンシャル・タイムズはこの比率が新興国よりはるかに高く、しかも中国の債務が速いペースで増加し続けていると指摘した。
IMFは金融危機が拡大する前、中国政府がより広範囲かつより包括的な解決策を策定する必要だと示し、政府が一にも早く黒字回復できない企業を倒産させ、回復の見込みのある企業に対して改革を行うべきだと提案した。
(翻訳編集・張哲)
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