2月19日、習近平主席は官製三大メディアの人民日報社、新華社と中央テレビ局を視察し、外部の関心を集めた。一部の見方によると、習氏はマスコミの宣伝を直接コントロールし、近い将来に大きな動きに出るのではないかという。これまで宣伝部門は習陣営と対抗する江沢民陣営の劉雲山・政治局常務委員の管轄下にあった。
19日午前、習近平主席は人民日報社、新華社、中央テレビ局を立て続けに視察した。その視察は官製大手メディアの「微博(ウェイボ)」、「微信(ウェイシン)」によりリアルタイムに伝えられた。
同日午後、習氏は北京の人民大会堂で国営メディアの幹部らを集め、ニュース世論工作座談会を開催した。習氏は談話の中で中央の権威を守り、足並みを揃えて、中央と一致するよう強調した。
外部の観察では、習主席が官製三大メディアを視察した時、宣伝部門を主管する劉雲山・政治局常務委員は同伴していたが、新華社の最初の報道では、劉氏ら同伴者の名前が消え、全文が習氏による視察情況のみであった。後ほどの中央テレビ局、人民日報社の報道の中では、劉氏の名前はあったが、明らかに引き立て役であった。
北京の歴史学者で政治評論家の章立凡氏は香港メディア「明報」に対して、以前世論と宣伝は一人の政治局常務委員に任せてきたが、今後おそらく習氏は「直接自分の手で掌握」する可能性があると語った。
章氏によると、習近平氏の19日の視察と座談会はマスコミへのコントロールを強化する現れであり、中国共産党の歴史におけるマスコミへの引き締めは往々にして比較的大きな動きの前兆だという。
海外の中国語ネット博聞社によると、習氏の官製三大メディアへの視察は、2013年4月中国共産党全国宣伝部長会議と一昨年の文芸工作座談会に続く、宣伝領域での重要な動きだという。習氏は政権の最高指導者になってから、宣伝部門の主管が行ってきたことに、たいへんな不満を抱いている。
北京政界の情報筋は、習氏の視察は、昨年9月の北京閲兵式で30万人の軍縮や大幅な軍隊改革を宣告したと同じように、マスコミに手を入れることを意味するという。
中国問題専門家・李天笑氏の分析によると、習近平当局の軍隊改革が大まかに実行され、軍への指導権をしっかり掌握した状況で、宣伝部門にメスを入れようとしており、中国共産党の歴史では、軍隊と宣伝部門は重んじられている。
李天笑氏は、習近平氏がトップの座についてから3年余り経ったが、劉雲山氏の主管下にある宣伝部門はずっと落とし穴を掘って習氏を落とそうとしてきた。例えば、習氏を極左のイメージに作り上げることで、今回の旧正月を祝う中央テレビ局の年越しイベント番組「春晩」では、習近平氏へのおだて上げは度をすぎており、却って人々に反感を持たせるもので、劉雲山氏が「文化の政変」を起こしたとさえ見られた。
以前北京の中央官庁に務め、現在政治評論家として海外に滞在する吳稼祥氏によると、猿年の「春晩」は吐き気がするほどの「文化災害」だと形容し、中国共産党内部の二つのイデオロギーの争いを反映しているという。
「文化大革命」式の言葉で誉め称えているように装ってはいるが、実際は貶しているのだ。
劉雲山氏は江沢民陣営の重鎮であり、これまでずっと掌握した文化、宣伝システムを利用し、習近平陣営と対抗している。この数年来、劉氏は習氏の構想に従わないばかりでなく、逆に面倒なことを作ってきた。
例えば、2015年7月中国の株式市場に危機が発生した時、習当局は様々な対応策を打って市場を救おうとしたが、劉氏の主管する新華社は7月7日に「市場の救済は無効」と報道し、市場のパニックを誘発した。
この間の香港メディアによると、劉雲山氏はこれまで党内外から広く批判され、2013年から今まで、劉雲山氏の失脚を要求する声がますます多くなっているという。また、最近劉氏及びその一族に関する不利な情報がしきりに伝えられ、劉氏の立場は悪化している。
(翻訳編集・金本)
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