中国安徽省の巣湖市政府は最近、大規模な文化広場を建設する計画を発表した。注目されるのは、広場の奥に建造予定の中国聖人の巨像だが、ネットでは旧約聖書の預言者「モーセ」ではないかと、デザインの盗作疑惑が出ている。
同市によると、巨像は、巣湖という土地にゆかりがあるとされる中国古伝の聖人「有巣氏(ゆうそうし)」を表す。台座を含めた高さは72.3メートルと、20階建て高層ビルに匹敵する巨大建造物だ。
計画の画像公開からまもなくして、複数のインターネットユーザが盗作を指摘した。ローマの教会に置かれる16世紀初頭にミケランジェロが作製した「モーセ」像に酷似しているという。
画像を比較すると、胸までとどく長い巻き髪とあごひげ、右足に掛けた布、西洋人の顔つきや体躯という特徴が共通している。
簡易投稿ソーシャルサイト・微博(ウェイボ)ユーザたちは、失望のコメントを繰り返した。@愛新覚羅鄒徳懐「誰がデザインしたんだ?ミケランジェロが彫ったモーセじゃないか。管理者は盲目だ」 @包豪斯的道路「有巣氏ではなくてモーセだというのは確定だろう?」
安徽省のニュースサイト・中安在線が14日に伝えた有巣氏文化研究センターの説明によると、広場は巣湖市郊外にある山のふもとに作られ、敷地面積は1.5平方キロメートルで、東京ドーム32個分に相当する。建設費用は15億元(約300億円)と同サイトは報じている。
旧約聖書によると、モーセがシナイ山で神から授かった「十戒」には、「盗んではいけない」と記されている。聖人・有巣氏は、初めて人類に家を作ることを教えた建築の神とされるが、この巨額を投じた「文化広場」の奥にそびえ立つ「盗作」を見たら、どれほど嘆くだろうか。
(翻訳編集・佐渡 道世)