習近平と江沢民の二大陣営が激闘する中国の政局において、最近大きな動きがあった。このほど、習近平当局は周永康・前政治局常務委員や郭伯雄・前軍事委員会副主席などの江派重鎮を続々と失脚させ、処分するなど、江派への粛清を加速している。元老の「院政」の場と言われた北戴河会議もひそかに形を変えている。アナリストによると、共産党上層の争いの中で、江派は大敗を喫したという。(以下敬称略)
江派重鎮 失脚と処分
6月11日、天津市中級法院は周永康・前政治局常務委員に対し、収賄と職権乱用、国家機密漏えいの罪で無期懲役の判決を言い渡した。
7月20日、中共中央政治局は令計画・元政協副主席の党籍・公職剥奪の決定を下した。最高検察院は同日、令を収賄の疑いで立件し、逮捕することを決定した。
7月24日、周本順・河北省委書記は「規律・法律違反」の嫌疑で調査を受けた。周本順は周永康の腹心と言われる。
7月30日、中共中央政治局は郭伯雄・前軍事委員会副主席の党籍剥奪と軍事検察機関への移送を決定した。
これまでに、中国共産党の官営メディアは周永康、徐才厚(前軍事委員会副主席)、薄煕来と令計画が作った巨大な腐敗ネットは、「天をも覆い隠す」ほどだと数回指摘してきた。外部からは周・徐・薄・令の4人は互いに結託した「新四人組」だと言われている。元締めは元総書記の江沢民である。
令は胡錦濤政権では党総書記を支える要職の党中央弁公庁主任を務めていたことで、胡の側近と呼ばれたこともあったが、実際、令は胡に抜てきされたのではなく、香港メディアによれば、胡も「彼は自分側の人ではない」と話したという。
米ワシントン中国問題専門家・季達は、6月中旬から1カ月半の間に、4人の江派重鎮・周永康、令計画、周本順と郭伯雄を次々と処理した動きは中国政局に震撼を与え、国際社会の注目を引きつけたと指摘した。
香港紙・太陽報の評論によると、江派の軍代表人物であった徐才厚・郭伯雄らが相次いで粛清されたのは、共産党上層の争いの中で江派が大敗を喫したことを示すという。徐才厚は昨年6月に失脚し、今年3月ぼうこうがんによる多臓器不全で死去した。
新規人事規定を公布
7月28日の官営メディアによると、当局は近日中央・地方の幹部を厳しく査定する「能上能下(昇格も降格もある)」という幹部の人事に関する新規定を公布し、各地と各部門はそれに従うよう求めた。
海外メデイアによると、習近平の「能上能下」の極秘リストの中には、「能下(降格)」の上層幹部がずらりといるという。その中の数人が政治局委員、現職の政治局常務委員1人が含まれる。現職の政治局常務委員は江派の副首相・張高麗だという説がある。
時事評論家の方林達は、新規人事規定の公布は習近平当局が共産党内部の江派勢力の粛清を加速するための動きだという。この規定の中身を見て分かるように、共産党の省レベルまたはそれ以下の官吏だけでなく、政治局常務委員ランクまで対応できるものである。
北戴河会議は変化
北戴河会議は毎年夏に共産党の現職トップと元老が避暑と休養を兼ねて、北京郊外の北戴河に集まって開く非公式会議である。そこでしばしば重大なことが決定され、元老の「院政」の場ともいわれ、毎回注目されてきた。しかし、今年は違う様相を見せている。
8月5日、官営メディアの新華社「財政経済国家週刊」はネットで次の文章を発表した。「待たないでください、北戴河に会議無し」と称し、共産党上層は近頃処理するべき事、例えば第5回中央委員会全体会議、経済に関する計画、「虎」を打つなど、大きなことはすべて相談済みで、北戴河ではすでに言うことなど何もないという。
香港紙・太陽報8月2日の評論によれば、北戴河会議はもう新旧指導者の政治取引の場所ではなくなり、全く避暑のための会議に戻り、元老政治はひそかに幕を降ろした。それは今回の反腐敗の最大の戦利品だとも綴った。
近頃中国株の急落騒動が起きてから、江派から北戴河会議で経済と反腐敗のことについて習近平当局に攻撃を仕掛けるという噂が伝わった。
時事評論員の謝天奇は、習近平当局は公に「北戴河に会議無し」と称したことで、江派の企みが外れ、出場する機会さえ剥奪されたと評した。
江沢民告訴13万人超
法輪功情報サイト「明慧ネット」によると、江沢民に対して、刑事告訴する国内外の法輪功学習者や家族は最近13万人を超えた。法輪功学習者のほか、基本的権利の保護を主張する弁護士や関連人士と団体、香港の一部議員なども江沢民への刑事告訴に加わった。
時事評論家の陳思敏によれば、江沢民告訴の波は民意の現れと人心の向かうところを示している。また別のアナリストによると、各種の兆から、江派への大清算はすでに始まったという。
中国で5月1日から「しかるべき告訴を必ず受理、立件する」という司法改革制度が実施されたことから、法輪功弾圧を発動した江元総書記に対する刑事告訴・告発状が、学習者らから大量に最高検察院に送られた。
(翻訳編集・金本)
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