中国南方の都市・杭州では8月1日から39度の酷暑が続いている。エアコンのない住居に住む人々は地下鉄駅や図書館など公共施設に涼を求めて移動する。「納涼族」と呼ばれる彼らは、各地で公共マナーの問題を起こしている。銭江晚報が4日に報じた。
杭州の「納涼族」は今年、都会の中の避暑地として大型家具店イケア(IKEA)を選んだ。同店は今年6月にオープンした。中国国内各店舗でも見られるように、購入意図はないが長時間にわたり人目をはばからず展示品でくつろぐ人々の姿は、「見苦しい」「恥ずかしい」としてネットで非難を浴びている。
新店舗であるイケア杭州店は清潔で広く、夏の「避暑地」として人気が高まった。気持ちのよいソファで熟睡する家族連れ、子供用ベッドで布団を掛けて眠る男性、イヤホンを付けてスタッフの注意を無視する若者―。納涼目的の来店者は後を絶たない。
杭州は中国南方・浙江省の省都で、夏は40度近い酷暑に見まわれる。経済文化が発達した杭州には地方からの出稼ぎ労働者も多い。「納涼族」にはこのような低所得者が含まれる。彼らはエアコンのない寄宿舎などに住み、涼を求めて公共の場を利用する。
エアコンの効いた涼しい都市の避暑地として、昨夏まで一番人気だったのは杭州地下鉄だ。2012年11月に開通した同線は、夏になると、「納涼族」が駅構内に流入する。
彼らは持ち込んだゴザやダンボールを敷き、寝そべって飲食し、トランプゲームに興じ、また子供に支柱へ向け排泄させる。スイカの皮やトウモロコシの芯などの残飯やタバコの吸殻が周辺に散らかる。2年前から中国国内メディアで公衆衛生や公共マナーの問題として報じられていた。
「夏の流入者」の対処法として、駅管理者はエアコンを切るという強行手段を取っていた。悪評を受けて今年は対応を緩和させ、バリケードを設置して納涼専用スペースを作った。同紙によると、今年はIKEAが開店したことで、その数は昨年より半減したという。
杭州では、避暑目的で公共の場に「納涼族」があふれるというのは夏恒例の光景だ。銭江晩報の陳記者は、「政府や企業、有識者がこの群衆の問題にもっと関心を向けて、どのように公共マナーの教育を促し、文明の質を高めるかが課題ではないか」と記事の文末に記した。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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