【大紀元日本7月10日】中国銀行の一部の支店は海外移民を希望する顧客のためにマネーロンダリング(資金洗浄)を行っていると国営中央テレビCCTVが9日に報じた。政府メディアが国有銀行を批判するのは極めて異例なことであり、深刻化する資金の海外流出にまもなく政府のメスが入るとみられる。
20分に及ぶCCTVの番組は、銀行関係者、移民仲介会社への秘密調査に基づいて制作されたもの。それによると、中国銀行は「優匯通」という海外送金サービスを通じて、投資移民または海外で不動産購入を計画している顧客のために無制限に送金しているという。中国では、個人の海外送金額は5万ドルに制限されている。このサービスは規定に抵触している可能性が出ている。
「優匯通」は銀行が顧客から預かった人民元を海外支店に送金し、現地で外貨に両替しているため、監視の目が届かない。銀行関係者は同サービスについて、「宣伝しない、資料を公開しない、自ら顧客に薦めない」と話し、「違法スレスレのグレーゾン」とその違法性を認識しているという。さらに、高額海外送金に必要な収入証明がなくても、同行の支店は架空取引を行うよう顧客に提案し、書類の偽造を手伝っている。「どんなに黒いお金でも、洗浄できる」とも豪語している。
同サービスは現在、同行の広東省内の支店でメインに取り扱われている。同省の越秀支店の関係者は番組で、今年に入ってすでに60億元(約984億円)を送金したと話し、「それでも業績は省内5位」と語った。「顧客には多数の政府関係者がいる。汚職で得た収入でも書類を偽造すれば送金可能」としている。
近年、中国では毎年20万人の富裕層が海外へ移民しているとされている。投資移民や不動産購入で居住権を得る場合、数十万から数百万ドルの投資が求められるため、その送金ルートが疑問視されている。この10年間で中国から海外へ不法に流出した資産は計18兆7000億元(約307兆円)に達したと中国メディアが昨年3月に報じ、その大半が腐敗幹部による資産の移転だという。
大物政治家が相次ぎ汚職で失脚するなか、政府メディアによる国有銀行への批判報道はこうした不正所得の流出に政府がまもなく取り締まりに乗り出すと米VOA(米海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ)は分析した。
中国銀行のマネーロンダリング疑惑は今回が初めてではない。2012年にも中国銀行広州支店から、イスラエルの銀行口座に合計で110万ドルを送金した事実が判明した。米国のリサーチ機関「グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(Global Financial Integrity)」が2013年発表した報告によると、2010年に発展途上国から海外に出た不正資金は8588億ドルとなり、このうち中国からは全体の半数を占める4204億ドルが流出したという。
中国銀行は10日、マネーロンダリングの指摘は根拠がないと否定し、「サービスは合法的だ」とのコメントを出している。
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