【大紀元日本6月26日】中国政府は2000年頃から国家戦略として「走出去」(企業の海外進出)を推進し、企業に対して条件付きの補助金を出すなど支援策を打ち出してきた。しかし、こうした補助金に不適切な使途があったと中国審計署(会計検査院に相当)によって指摘された。
同署トップの劉家義・審計長が24日、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で行った予算執行の監査報告で明らかにした。今回の監査は38の中央政府機関と389の管轄企業、部門を対象に、2013年予算の3分の1に相当する約1540億元(2.5兆円)分について調査を行った。その結果、1100人による314件の重大な紀律違反と違法行為が見つかったと報告され、前年度の175件を大幅に上回った。
報告の中で複数の企業名を挙げてその違反事実を指摘した。海運、不動産などを手がける大連海昌グループと鋭陽(大連)投資管理有限会社は、遼寧省と大連市からの補助金2.68億元(43.7億円)をフランスのワイナリー14軒の購入に流用した。補助金は本来、海外で技術系企業の買収を支援する目的で拠出されたものだ。
また、中国地質調査局の調査団は2013年1月、技術交流のため渡米したが、無断で行き先を変更し、ギャンブルで有名なラスベガスに3日間滞在した。帰国後、この3日間の日程についてカナダで視察していたと報告していた。
ほかにも、中国国家海洋局の南極視察団は許可された11日の日程をオーバーして13日間滞在し、そのうちの6日間の滞在先はフランスとチリだった。
汚職疑惑で経営陣が相次ぎ逮捕された中国石油天然ガス集団(CNPC)について、一部の上層部は職権を濫用し、多額の国有資産を流出させ、「国益に重大な損失をもたらした」と厳しく指弾した。
同報告は違反行為の特徴について、組織ぐるみによる汚職が深刻化しており、違法行為が発覚しないよう隠蔽工作を行い、在任中に図った便宜の見返りを退職後に受け取るなど贈収賄の過程が長引いているなどと指摘した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。