【大紀元日本11月13日】北京で開かれていた中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)は12日、閉幕し、国内外の安全問題に対処する「国家安全委員会」と、改革を推進する「全面深化改革指導小組」が新設された。江沢民元国家主席が、胡錦濤・温家宝時代で敷いた政治局常務委員の分権制にピリオドを打ち、習近平・李克強政権の実権が大幅に強化されることになった。
江氏は退任時、政権の中枢を握る中国共産党中央政治局常務委員9つのポストのうち、6つに自らに近い人物を充てた。呉邦国氏・賈慶林氏・曾慶紅氏・黄菊氏・李長春氏・羅幹氏はその6人。第二期胡温政権で、曾慶紅氏・黄菊氏・羅幹氏は退任したものの、周永康氏という江派の重鎮が常務委員入りを果たした。江氏は、これらの腹心を通し、政権運営に強い影響力を及ぼしていた。
現政権では習氏の権力が強化されたものの、常務委員のなか、宣伝を主管する劉雲山氏や、経済を主管する張高麗氏、張徳江氏は依然、江氏に連なる。今回、「国家安全委員会」と「全面深化改革指導小組」の創設は、江派に分散していた権力を、習陣営に集中させる狙いがあるとみられる。
「国家安全委員会」について、国営新華社が三中全会の閉幕に際して発表した声明では「治安を改善するために、国家安全保障システム、並びに国家安全保障戦略を改善する」としている。委員会がカバーする国内の安定維持は、かつての中央政法委員会(政法委)が管轄する分野。情報、治安、司法、検察、公安などの部門を統括管理していた政法委は、羅幹氏から周永康氏、長期にわたって江派が支配権を握っていた。傘下の準軍事組織・武装警察部隊は増強し、江派が支配する「第二の権力中央」とも呼ばれた。
「国家安全委員会」の創設は、多発する暴動や抗議活動など政権を脅かす問題への対策であると同時に、習陣営がリーダーシップを取ることで、江派をいっそう弱体化することがその目論見であろう。
一方、「全面深化改革指導小組」を党中央に設置することは、改革は国務院ではなく、党主導、ひいては、習氏自らが手綱を握ることを意味する。改革の全体設計や統括管理、監督などを行い、各地・各機関の党委が改革に対しリーダーシップを発揮することが定められている。
人民日報は関連の論説で「改革が今直面している問題はすべて難題である。どの改革も絡み合う複雑な矛盾を解かなければならない。どの改革も認識や利益の束縛を突破しなければならない」と論じ、改革に対し、既得権益層の抵抗を受けていることを示唆した。
これまで、鉄道や石油、通信など国内重要産業を江氏につながる勢力が牛耳り、巨大な利権ネットワークを構築してきた。こうしたネットワークを断ち切り、新政権が目指す「改革の深化」を実現するために、「指導小組」を設置し、実権の拡大に踏み込んだとみられる。
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