【大紀元日本8月10日】このほど発表された7月の中国の経済指標によれば、中国経済が引き続き減速していることが明らかになった。一方、今年上半期の中国全国不動産用地の供給は過去最高水準となった。背景には、景気低迷で債務急増と財政に苦しむ地方政府が、土地関連収入増を狙う目的があるとみられる。
中国国土資源部法律センターが7月28日に発表した土地管理動向分析によると、今年上半期の全国不動産用地の供給量が8.24万ヘクタールに達し、そのうち商業用土地供給が前年同期比で42.8%増の2.7万ヘクタールで、住宅用土地供給が同36.9%増の5.54万ヘクタールになり、ここ5年間の同じ時期の水準を大幅に上回った。2012年上半期の商業用および住宅用土地の供給量伸び率はそれぞれ4.4%増と21.7%減だった。また上半期の土地譲渡価格は前年同期比で77.3%増の1兆7000億元(約26兆6900億円)に達し、過去最高となった。不動産用土地譲渡価格は同90%増。
国家審計署が6月10日に発表した「36地方政府の政府レベル債務審査統計結果」では、2012年末までの36の(省レベルと市レベルを含む)地方政府の債務残高が3兆8500億元(約60兆4450億円)で、2年前に行った前回の調査結果と比べて12.94%増加した。36の地方政府のうち、9の市レベル地方政府の負債率が100%を上回った。なかには最も高い負債率が188.95%に達した地方政府もある。さらに担保責任を負う債務を加えば、負債率が219.57%に上る地方政府まであった。
中国国内経済成長は停滞し、財政収入が大幅に増えることを見込めないため、地方政府の債務不履行リスクがますます強まっている。地方政府にとっては財政確保の手段は、これまでと同様に不動産開発企業への土地譲渡と、不動産開発やインフラ建設による景気刺激策しかない。
しかし一方で、専門家は中国国内で住宅売却の急増が目立っていると指摘する。国内著名経済金融評論家の牛刀氏は4日付けで自身のブログに、北京などの第一線都市は中古住宅物件の供給が急増しているとし、北京の中古物件件数は2週間連続で週1万件を突破し、その増長ペースは今年2月に中央政府が新たな不動産価格抑制政策を実施する前に現れた住宅売却ブームによる中古住宅の急増よりも速いとの見解を示した。
また、不動産市場にも投資活動を行っているため、国内の多くの鋼鉄や銅などの金属関連企業が相次いで資金調達難に陥っている。そのため資金確保には今後、企業が不動産を売却する動きが強まるとの見通しを示した。一方、牛刀氏によると、北京などの1線都市の新築住宅成約件数はこのほど2週間連続減少している。同氏は、現在北京において人がほとんど住んでいない381万件の物件のほとんどは米国が利上げを実施する前に売却されると予測しており、それが引き金となり住宅市場の暴落は避けられないと警告した。