【大紀元日本6月29日】22日から4日間にわたり開かれた中国共産党中央政治局の会議で、習近平・総書記は「政治局委員は率先して中央の権威を守らなければならない」と強調した。この発言は、政治局内部の意見対立が突出している現状をけん制するものと見られている。
今回の会議では、党内の風紀引き締めの強化に向けての具体的な取り組みと関連制度の制定などを検討。席上で、習総書記は「政治局の委員は党最高指導部と高度な一致を保たなければならない」「重大な問題において、規定に従い報告し指示を仰ぐ。自身の行動で、中央政治局の高度な団結と統一、一致した歩調といった良いイメージを樹立すべきだ」と檄を飛ばしたという。
香港紙・蘋果日報(アップルデイリー)は26日付の評論で、これらの発言は、習総書記がこれまで政治局委員が全体決定に従わなことへの苛立ちを裏付けたもので「民意と世論の力を借りて、対立する一派に対して圧力をかけるねらいがうかがえる」とした。
また、総書記の発言は、政治局委員に存在する「4つの問題」も露呈したと同評論は指摘する。「党中央と一致しない」「党の紀律を守らない」「全体決定を実行しない」「報告せず指示を仰がない」などである。
元中央政治体制改革研究室研究員の呉偉氏も総書記の発言に注目。「対立と意見の食い違いが生じている証拠だ。団結せず、ひいては指導部に背ける。そのため思想と歩調の一致が要求されている」「しばらくは事態を注意深く見守るべきだ」と自らのミニブログ・微博で分析した。
今年に入ってから、メディア報道にみられた乱れも指導部の意見分裂を浮き彫りにしている。年明けに起きた人気紙・南方週末の新年社説の差し替え事件をめぐって、習総書記は当時、メディアを主管する政治局常務委員・劉雲山氏を「余計な真似をするな」と叱責したと伝えられている。また4月に、習総書記がタクシーに乗り、運転手と大気汚染問題などを話し合ったといった香港の親共紙・大公紙の報道は後に「誤報」と謝罪したことについても、習総書記が「愚かさに愚かさが重なった」と嘆いたという。
さらに、高級車への軍用車両ナンバー使用禁止という指導部通達に対して、主要紙・光明日報は「これは制度の後退だ」と反旗をあげ、新華社も習総書記が推し進めている幹部の風紀是正に対して、「腐敗は取り締まれば締まるほど深刻になる」などと歩調の不一致を見せていた。
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