設計図がハッキングされ、建設が停止している新しいオーストラリア保安情報機構の建物(スクリーンショット)
【大紀元日本5月30日】中国人民解放軍が来月下旬、初の「デジタル化軍事演習」を実施することが分かった。今年に入ってから、中国軍のハッカー部隊の活動が度々報道されており、27日にも、米紙が、24件を超える主要な米兵器システムの情報が盗まれていると報じた。
中国国営新華社28日の報道によると、来月下旬、内モンゴル自治区の朱日和基地で、初の新型戦闘力連合軍事演習が行われる。新型戦闘力とは、情報化戦争に適応するために、デジタル技術を駆使するデジタル化部隊や特殊作戦部隊、電子対抗部隊などを指すと新華社は説明している。
総兵力230万人の中国人民解放軍は、情報技術力の向上を含めた軍隊の近代化を急いでいる。しかし、その性急な歩調を支えているのは、他国からの軍事情報の窃盗行為も含まれる。
27日付の米ワシントン・ポスト紙は、中国のハッカー攻撃によって、米国が保有している高度な兵器システム、少なくとも24件の情報が盗まれたと報じた。漏洩した情報には、戦闘機や戦闘艦のほか、ミサイル防衛システムなども含まれるという。
システム情報は、下請け会社から盗まれたと見られている。「米国防総省の幹部は、下請け会社からのサイバー漏洩に苛立ちを感じている」と、米国の高官は語っている。
ある軍部高官は「多くの場合、FBIが下請け会社に対して、ハッキングされたことを伝えるまで、全く認識がない」とワシントン・ポスト紙に匿名で語る。「中国に数十億ドル相当の戦闘技術を与えてしまった。25年の研究開発なしで中国が手にしたのだ」
米国防総省は今月6日、中国が軍近代化を促進するため、国家ぐるみで産業スパイ活動を行い、軍事技術を入手しているとする内容の報告書を公表した。来月7-8日に予定されている米中首脳会談では、オバマ大統領は習近平主席とサイバーセキュリティについて協議する予定。オバマ政権はサイバー攻撃をテロと並ぶ脅威と位置づけているだけに、どこまで突っ込んだ協議になるかが注目されている。
一方で、オーストラリアでは、新たな保安情報機構(ASIO)本部の設計図がハッキングされ、中国のハッカーの手に渡っている。これも下請け会社からのものと推測されている。27日放送の豪国営ABC局の報道番組Four Cornersが伝えた。
これまで6億ドルが費やされ、4月には、職員2000人規模で移転するはずだった新庁舎の建設が停止している。
遅延の理由の一つに、設計図が盗まれたことが挙げられる。建物の詳細だけでなく、ケーブル、サーバーの位置、室内の電気回線・部品、セキュリティーシステムなど一切が漏洩してしまったのだ。
オーストラリア国立大学(ANU)戦略防衛研究センターのデズ・ボール教授は「建物がほぼ完成している現状で、選択は二つ。一つは、建物の全ての状態が掌握されていることを受け入れ、あらゆる側面で漏れのないように鋭敏に操業すること。もう一つは、1970年代に米国が在ロシア大使館でしたように、全くゼロから建築しなおすこと」と語り、漏洩の深刻さに10段階評価で10をつけた。
同教授は、衛星でも戦闘機でも現在の中国が米国の水準に達するまでには時間がかかるが、サイバー攻撃、電子攻撃により、米軍の司令システムを妨害することで、中国が米国の軍備を骨抜きにすることが可能であり、最悪の危険なシナリオであるが、これが中国の最終目標だと指摘する。
具体的には、米軍衛星を管制するグアム、日本、ホノルルの地上局を妨害し、衛星システム、センサーシステム、航空機・戦闘機間のコミュニケーションを遮断することが、最初の襲撃となりうると、同教授は語った。
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