【大紀元日本3月25日】香港紙・明報によると、昨秋の党大会前後に、米国に留学または居住していた指導者らの子女の多くが帰国した。その中、習近平主席の娘、李克強首相の娘、李源潮副主席の息子、汪洋副首相の娘と馬凱副首相の娘が含まれているという。
報道によると、今回の帰国ラッシュは、臨時的、短期的な行動とは見えず、彼らは帰国前に住宅や車などの財産を売却し、銀行口座も取り消したという。
もし、報道されたことが事実であれば、これは非常に異例な動きであり、今後、指導部における政治政策の展開にかかわるものとして、きわめて注目に値すると思われる。
今年2月、習氏は中央政治局の会議で政治局委員らに対し、腐敗防止の6つの要求を提起した。その第3条は、「国内で居住、仕事、就学するように、すでに外国で居住している配偶者、親族を呼び戻さなければならない」である。
そのために、習氏は率先して娘を呼び戻し、習・李体制の他の指導者も追従した。新体制は、このような果敢な挙動をもって何を得ようとするだろうか。
先ずは、この確たる行動をもって、政敵らに攻撃されることを未然に防ぐと共に、習近平氏の権威性と発言力を内外に示そうとするものと思われる。それと同時に、腐敗是正を本腰で展開する姿勢を示し、失った民心を取り戻そうとする狙いもあるだろう。
中国官僚の腐敗はさまざまあるが、配偶者や親族を米国など外国に送り出し、自身一人で国内に留まる、いわゆる「裸官」現象が国民からもっとも憎まれるものの一つである。香港誌・動向2012年5月号によると、共産党中央の調査によると、共産党第17期中央委員204人中、直系親族が海外に移民し居住している者が全体の9割を占めるという。中国の国民は「中国の指導者はみな外国人の親族だ」と痛烈に批判している。
腐敗是正は、習・李体制にとって如何にしても避けられない課題だ。そのため、習氏は、腐敗是正を「戦争」と位置づけ、その厳しさを示唆した。したがって、自らを正し、後ろ指を指されることを絶つことは、その戦いに備えることにもなるだろう。
そこにまた、一つの思惑があるのかもしれない。共産党の内部闘争がエスカレートするにつれ、如何なる状況も起きる可能性がある。いざ非常事態が起きれば、外国にいる子女たちが、政敵のターゲットとされ、親をけん制する取引材料にされ得る。したがって、取引材料や人質、ないし暗殺されないよう、呼び戻すという先手が必要であろう。
問題は、政治局委員らがみな習氏の命令に従うか否かだ。外交事務を統括する国務委員の楊潔篪氏の娘はなお米国の大学で勉学中であり、帰国する気配など一切ない。習氏の施策に、暗に抵抗する勢力もかなり大きい。この一手がどれほどの効果を得られ、どのように展開されるかについて、今後も目が離せない。
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