中国からの投資で潤うスーダンのバシール政権(Getty Images)
【大紀元日本2月1日】スーダンの首都ハルツームでは、中国の痕跡があちらこちらで見られる。中国人労働者が建てたビルは町を一新させ、大通りの周辺では日用品や雑貨を売る中国人の店が立ち並ぶ。旅行社は増える中国人観光客に狙いを定め、診療所では河南省や湖北省から来た漢方医が鍼灸や漢方薬を処方している。
これは英紙デイリー・テレグラフが24日に伝えたスーダンの現状である。中国の共産党政権は経済路線を維持するため、どん欲に世界の資源を追い求めている。発展途上国の最大の債権者にして建設者になった中国は、国際社会に非難されているスーダンのバシール政権であっても、石油資源を手に入れるため擁護し足元を支えつづけている。
欧米の制裁をねらって進駐する中国石油
中国最大の石油天然ガス会社・中国石油集団が、スーダンの経済構図を大きく変えた。「スーダンで最も勢力のある」この会社はスーダンに数百万ドルを投資し、現地の経済を刺激した見返りに石油資源をせしめ、同時にバシール政権の国庫をも大いに潤した。
欧米社会がバシール政権の白色テロを譴責し経済制裁を実施した90年代ごろから、中国がスーダンの石油に触手を伸ばし始めた。財政的に困窮した当時のバシール政権に中国が手を貸し、石油工業への投資を開始した。スーダンのエネルギー資源顧問アリ・ムハンマド氏は、「スーダンが90年代に困っているときに、投資してくれたのは中国だ。今では一蓮托生の仲。西側は制裁で投資してくれなかった」と述べている。
1993年にすでに石油輸入国になっていた中国にとって、スーダンは絶好の相手だった。中国石油や中国石油化工などの中国系企業は、技術や経験が不足しているにもかかわらず、スーダンの4割の石油資産に投資している。「スーダンには他の選択肢がない」とムハンマド氏は言う。
2010年では、中国はスーダンの石油にとって最大の顧客となり、1259万トンの原油を買い付けた。これは、スーダンの石油総生産量の約半分にあたる。
中国、発展途上国へ大量投資
2005年から2012年にかけて、中国は世界で4600億ドルを投資し、ダム300か所を建設した。カザフスタンやミャンマーで数千キロにも及ぶ石油天然ガスのパイプラインを敷き詰め、アンゴラでビルを建設した。ベネズエラやアルゼンチンで鉄道を敷き、コロンビアでもパナマ運河の代替ルートとして鉄道建設を計画している。
4600億ドルの投資額の4分の3は発展途上国に回しており、その効果はアフリカでもっとも顕著だ。2000キロの鉄道、3000キロの道路、160カ所の学校や病院と引き換えに、中国は資源をせしめ、自国の経済を駆動させた。
中国政府の管理下にある中国輸出入銀行や中国国家開発銀行(CDB)などは、発展途上国に進出する国有企業に無尽蔵な資金を供給した。これらの資金は国有企業の戦略的資産の購入を可能にし、長期的に自然資源を獲得することをも可能にした。
2009年と2010年、中国は世界最大の債権国になっており、その債権は1100億ドル超にも達している。これらの貸付は往々にして石油を担保としており、また、ほかにも非公開の条件が付帯しているという。
重荷を背負う中国国民
一方、中国輸出入銀行や国家開発銀行の資金は13億人から調達していることは言うまでもない。社会保障の希薄な中国では、人々は収入の4割を銀行に預けており、世界でも最高の貯蓄率だ。株式投資なども制限が設けられており、海外への投資はさらに厳しく規制されている。
これは中国の共産党政権に「金融武器」という決定的なものを与えた。「世界の銀行家」になり、外交カードが増えたと同時に、自国の会社に世界の競争相手を打ちのめす弾薬をも提供した。
中国資本は、欧米の制裁によるバシール政権の破たんを防いだだけでなく、その他の方面でもこれを支えている。中国の北方工業公司がこの軍事政権の兵器庫に兵器を提供し、内戦でバシール政府軍の南進を可能にしたのだ。