米ザ・ホーム・デポは中国での全店舗を閉鎖する。写真は北京店、2007年撮影(AFP/Getty Images)
【大紀元日本9月19日】米国ホームセンター大手のザ・ホーム・デポ(The Home Depot、家得宝)は14日、天津市、西安市と鄭州市にある中国の7つの大型店舗をすべて閉店すると発表した。
国内報道によると、13日の夕方、閉店時間になっていないにも関わらず、ザ・ホーム・デポの7つの店舗内で突然閉店アナウンスが行われ、店舗にいた顧客や従業員に困惑した場面があったという。また、14日の閉店発表を受け、各地店舗の一部の従業員が突然の解雇に、未払い賃金と合理的な補償を求めるために店舗の前で抗議活動を行ったという。ザ・ホーム・デポの閉店で約850人の従業員が失業になるという。
ザ・ホーム・デポは米国において、スーパーマーケットチェーン大手のウォルマートに次ぎ、第2位の小売チェーンで、または米国最大なDIY小売チェーンだ。米国、カナダ、メキシコ、中国などを含め、世界各国で2141の店舗を構える。中国には2006年に進出し、ピーク時に中国全国で12の店舗があった。
国内業界関係者は、ザ・ホーム・デポが中国にあるすべての店舗を閉店することは同社が中国市場から撤退することを意味していると分析。しかし、ザ・ホーム・デポ中国支社の担当者が大紀元の取材に対して、「中国での全店舗閉店は中国市場からの撤退ではない。これは弊社の重大な戦略調整の一環だ。今後は中国でのネット販売やセレクト商品の小売に集中する。引き続きスタッフを駐在させ、新たなビジネスモデルを開発していく」と話した。
また、同社は各店舗の従業員に対して賃金補償および再就職の支援を行い、仕入先や顧客に対して責任を持って決済や商品の受け渡し、またはアフターサービスを行うという。一方、同社は閉店の理由について、中国での経営状況の明言を避けた。
一方、17日付中国ラジオ放送網の報道によると、ザ・ホーム・デポ鄭州支店長は13日午後6時に同社本部からの連絡で緊急電話会議を行われ、収益悪化のため中国での7つの店舗を閉店すると知らされたと話した。2006年に中国市場に進出した同社はこれまでの経営状況が良くなかった。大規模の人事異動や販売価格の大幅な調整を行っても、販売業績が良くならないため、2009年5月から2011年1月にわたって、北京や青島などにある5つの店舗を次々と閉鎖した。
ザ・ホーム・デポの収益悪化は政府の不動産価格抑制政策により中国住宅市場の低迷で、住宅リフォームおよび建設資材への需要が急速に低下したことが主因とみられる。また、同社のDIY(英語Do It Yourself、日曜大工)方式かつ大型ホームセンター店舗型の販売方法は中国消費者の需要に合わなかったと指摘されていることから、同社のキャロル・トメ最高財務責任者は14日、ロイターが主催した「小売および消費者サミット」において「われわれのモデルは中国の消費者の需要を満足させることができなかったのを認識している」と発言した。